庚申の日とは?読み方や意味は?
庚申の日の読み方は「こうしんのひ」もしくは「かのえさるのひ」
庚申の日とはどういう意味があるのかに触れる前に、どのように読むのかについて紹介します。庚申の日の読み方は「こうしんのひ」もしくは「かのえさるのひ」と呼びます。どちらで呼んでも間違いではないので、言いやすい方で覚えて問題ないです。
「日」という言葉がついていることからも分かるように、庚申の日とは古来の日にちを表すものとして使用されてきました。現代においてもカレンダーの日付ごとに「庚申」のような言葉が書かれていることもあり、1度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
庚申の日とは十二支の「申」を表している
庚申の日とは現代においての年月日、時間方位などを表現するために使用されていた十干十二支という考えで用いられていた日の1つです。庚申の「申」とは、私たちにもなじみのある子・丑から始まる十二支の1つである「申(さる)」のことを指しています。
そのための年月日、時間や方位を表している漢字は、申以外にも十二支全てである子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の順に後に説明する十干との組み合わせで日を表現しています。
庚申の日とは十干の「庚」を表している
十二支は干支(えと)と呼ばれ、現代においても使用されるためなじみのある存在ですが、干支というのは正しくは十干十二支と言い十干と十二支が合わさったものを指しています。そのため私たちが干支と呼んでいるものは、本当は十二支が正しい呼び方で、また庚申の日の「庚」は十干の1つを表しているものです。
十干は現代においては使用する場面がほとんどないため存在そのものを知らない人も多いですが、契約書などでは十干の中の「甲」「乙」が使用されています。十干の種類と読み方については下記に紹介しているので、参考にしてみてください。
- 甲(きのえ:木の兄)
- 乙(きのと:木の弟)
- 丙(ひのえ:火の兄)
- 丁(ひのと:火の弟)
- 戊(つちのえ:土の兄)
- 己(つちのえ:土の弟)
- 庚(かのえ:金の兄)
- 辛(かのと:金の弟)
- 壬(みずのえ:水の兄)
- 癸(みずのと:水の弟)
十干の種類と読み方、意味
庚申の日とは十干十二支の57番目
先述したとおり庚申の日とは、年月日、時間や方位を表すために用いられていた十干十二支の考えのなかの1つのことを指しており、十干の「庚」と十二支の「申」が組み合わされています。この2つの組み合わせは年で表すと60年で一巡し、また日で表すと60日で一巡します。
庚申の日とは、この1番から60番まで順番に巡っていく中の57番目に位置しています。60年で一巡するという考え方は現代においても残っており、60年で一巡すなわち数えで61歳の時に暦が返るところから、60歳が還暦となります。他にも土用の丑の日、午前、午後はこの十干十二支が元となっています。
下の記事では四柱推命での「庚申」の2019年の運勢について紹介しています。基本の性格や気になる相手との相性や恋愛傾向などについてもまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
庚申の日(こうしんのひ・かのえさるのひ)の由来とは?
庚申の日(こうしんのひ・かのえさるのひ)の由来①三尸(さんし)説
庚申の日というのは、中国から平安時代に伝わった庚申信仰が由来となっています。この庚申信仰には三尸(さんし)と呼ばれる3匹の虫が人間の体内にいるとされていました。この三尸は人が死ぬことで自由になると考え、人の寿命を縮めようと考えています。しかし普段は人間の体内から出ることはできません。
しかし唯一、庚申の日に人間が眠っている間は体外に出ることができるとされ、眠っている隙をねらって天へ昇り天帝である閻魔大王の所へ行き人間の悪事を報告します。その報告を聞いた閻魔大王が人間の寿命を縮めてしまうと考えられていました。
- 上尸(じょうし):頭に潜み、首から上の病気をおこす
- 中尸(ちゅうし):お腹に潜み、臓器の病気をおこす
- 下尸(げし):足に潜み、腰から上の病気をおこす
三尸(さんし)の名前
庚申の日(こうしんのひ・かのえさるのひ)の由来②守庚申(しゅごうしん)
庚申信仰の三尸説が中国より日本へ伝来すると、庚申の日に自分の身を守るために徹夜をする「守庚申(しゅこうしん)」と呼ばれるものが公卿などで行われるようになりました。本来の中国の意味合いとしては、寿命を縮められないよう徹夜をして三尸を体外に出さないよう耐える日とされている庚申の日です。
しかし日本に伝わると徹夜をするために、夜の間中和歌を詠んでみたり、楽器を奏でてみたりやお茶を飲んでみたりなど遊びとしての意味合いが強まってきました。
庚申の日(こうしんのひ・かのえさるのひ)の由来③庚申待(こうしんまち)
庚申の日(こうしんのひ・かのえさるのひ)に眠らずに行う守庚申は、公卿から武士の人々にも伝わっていきました。鎌倉時代になると武士が行う庚申の日の行事を「庚申待(こうしんまち)」と呼ぶようになりました。
「庚申待(こうしんまち)」も本来の庚申の日の意味合いに近く、寝ないで神仏に祈りを捧げるといったことを行っていました。次第に公卿同様に和歌を詠ったり、楽器を演奏したり、みんなで集まって楽しむようになり次第に60日ごとに行われるお祭り行事として変化していきました。
庚申の日(こうしんのひ・かのえさるのひ)の由来④庚申様
庚申の日(こうしんのひ・かのえさるのひ)に行う庚申待が庶民に広く伝わるようになると、「庚申講」と呼ばれる村を単位とする寄り合いが作られるようになりました。また庶民に広まっていくにつれて庚申の日は神の存在のように扱われるようになり、親しみを込めて「庚申様」や「庚申さん」と呼ばれるようになりました。
特に庚申信仰が盛んであった江戸時代では仏教的庚申信仰が主流となっており、仏教信仰であり三尸を食べてしまうとされていた青面金剛や帝釈天を祀るようになり、現代においても「庚申様」や「庚申さん」と親しみを込めている地域もあります。
下の記事では鏡割りと鏡開きの違いやその意味について紹介しています。また由来についてや割り方やかけ声についてもまとめているので、庚申信仰以外のも日本の伝統に触れたいという方はぜひ参考にしてみてください。
【番外編】閻魔大王ってどんな人?閻魔大王に関するエピソードは?
閻魔大王は神の一種
庚申の日(こうしんのひ・かのえさるのひ)の由来となった庚申信仰にも登場する閻魔大王ですが、実は神の一種として扱われている存在なのです。閻魔大王はヒンドゥー教や仏教においては、死後の魂が行く場所とされている冥界(めいかい)の主といわれています。
また日本における仏教では閻魔大王は地蔵菩薩の化身といわれており、大きな慈悲で全ての命を救済する存在として扱われています。閻魔大王と聞くと悪者や悪魔の化身のような印象がありますが、どちらかというと悪魔などではなく神の一種であるといえます。
閻魔大王は死者の魂の行き先を見極める
冥界の主とされている閻魔大王には大きな役割をもっており、冥界に来た死者の魂が極楽か地獄のどちらの道へ進むべきなのかを見極めることを仕事としています。閻魔大王は生きている時に行った良いことや悪いことの数の他にも他人の命をどれだけ奪ったのかや、周囲に対して気遣いの心を持っていたのかなどから判断します。
また人間は死亡するとそれまで借りていた身体、肉体を地球へ返し、魂のみが冥界の世界に行くとされています。そのためその借りていた肉体をどれだけ大切にしていたのかというような、他人だけでなく自愛の心があったのかなども確認します。
閻魔大王は人間最初の死者
庚申の日(こうしんのひ・かのえさるのひ)とも関わり深い閻魔大王ですが、実は閻魔大王は元々は人間であり最初に死んだ人ともいわれています。閻魔大王の原型となったのは古いインドで伝えられていたヤマと呼ばれる神であり、妹のヤミーと結ばれ最初の人類を生んだ存在とされています。
その後ヤマが人間として初めての死者となり、死んだものが進むべき道というものを見つけその先の国の王となったとされています。ヤマの国では死者が訪れるようになり、罪のないものにはヤマの国(天国)へ招き入れ、罪があるものに対しては別の場所(地獄)へ行かせたことが閻魔大王の元となっています。
閻魔大王が怒っているのには理由がある
閻魔大王は真っ赤な顔をして怒っているような表情をしていますが、顔を真っ赤にして恐ろしい表情をしているのは怒っているという理由だけでなく閻魔大王もまた苦しんでいるからとされています。閻魔大王は魂の罪の重さによって地獄と天国どちらへ行くべきなのかを裁きますが、この魂を裁くことは罪となり罰せられています。
閻魔大王の罰は、1日に3回ドロドロになるほど熱せられた銅を飲まされていると言われています。そのため閻魔大王は罰によって喉や腸が焼けただれ痛みに苦しんでいることから、顔が真っ赤になり恐ろしい表情をしているとされています。
冥界では自愛の気持ちも罪を減らせるポイントとなっています。下の記事では精神的に追い詰められた人の心理についてまとめており、死にたいと言われたらかける言葉も紹介しています。ぜひこちらと合わせて参考にしてみてください。
庚申の日(こうしんのひ・かのえさるのひ)とは自分を守るための日
庚申の日(こうしんのひ・かのえさるのひ)とはどんな意味があるのかや、その由来となった庚申信仰についてを紹介しましたがいかがでしたでしょうか。現代においては庚申の日はお祭りや行事としてのイメージが強いですが、本来の意味を忘れずに庚申の日を楽しんでみてはいかがでしょうか。
下の記事では四柱推命において、「丙申」の2019年の運勢について紹介しています。共に「申」が含まれますが、十干が異なると性格や運勢も異なってきます。ぜひ自分や気になる人の性格を知りたいという方は、チェックしてみてください。
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