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黒留袖でのマナーの重要性は?

黒留袖は結婚式などで着られる既婚女性の第一礼装

黒留袖は既婚女性の第一礼装です。結婚式や披露宴では、仲人や新郎新婦の身内は留袖を用いるのが一般的です。明治17年に、礼装は「縮緬か羽二重、黒または色物、五つ紋つき裾模様に白羽二重の重ね」という法令が出されてから、留袖が第一礼装として用いられています。

留袖と呼ばれる由来ですが、もともと、元服のときに振袖の長い袖を切って、「袖を留めた」ということから留袖という名がついたといわれています。当初は、そうして仕立て直した着物を、柄や色に関係なく留袖と呼んでいました。切った袖は残しておいて、子どもが産まれた際に産着として着せていた風習もありました。

黒留袖の正しい基本的なことを覚えておこう

着物にはいろいろな種類があります。着物に詳しくないひとが「黒留袖」と聞くと、黒い着物のことだと思う方が多いかもしれません。ですが、黒い着物だから黒留袖というわけではありません。黒留袖は、黒地の着物に、五つ紋付きの裾模様とされています。

五つ紋とは、黒留袖についている家紋の数のことで、黒留袖などに付けられている五つ紋が最高格とされています。五つ紋の紋の位置は、背中心に1つ、両後ろ袖にそれぞれ2つ、両胸にそれぞれ2つあります。基本的に嫁ぎ先で、嫁いだ家の家紋をつけることになっています。

黒留袖を着るのは、主に結婚式や披露宴に列席する、新郎新婦の母親、または仲人婦人、そして既婚の親族女性です。友人の結婚式の場合は、黒留袖ではなく、色留袖を着ます。黒留袖を切る場所、生地や帯の小物など、以下の表に黒留袖の基本をまとめたので参考にしてください。

黒留袖の基本

場所・目的 既婚女性の第一礼装・結婚式・仲人
丸帯・袋帯
長襦袢 白羽二重・白縮緬・白紋綸子
帯揚げ 白絞り・白紋綸子
帯締め 白・金銀・組みひも
履き物 金・銀佐賀綿・布・革製

【基本編】知っておくべき正しい黒留袖のマナー3選!

知っておくべき正しい黒留袖のマナー①留袖の裾模様は年相応のものを選ぶ


知っておくべき正しい黒留袖のマナー、1つ目は「黒留袖の裾模様は年相応のものを選ぶ」ことです。裾模様に特徴のある黒留袖は、江戸褄模様をはじめとして、いろいろな模様があります。その中で江戸褄模様は最も一般的で、留袖の代名詞にもなっています。以下の表に、裾模様の種類と特徴をまとめたので参考にしてください。

裾模様の種類と特徴

模様の種類 特徴
江戸褄模様 上前見頃、下前身頃の褄下の部分にだけ模様がある。
腰高模様 腰のあたりまで模様がある。
後ろ掛かり模様 衽から前身頃にかけて斜めに、さらに後ろ見ごろにも模様があるもの。

選ぶ模様についてですが、新郎新婦の母親なら、落ち着いた柄が好ましいです。おめでたい鶴や亀のほかに、松竹梅などの、格調が高いものを選びます。裾の模様が小さく、裾に近い位置にあるほど、落ち着いているように見えるので、年配者向けとされています。

若い女性の場合なら、上の画像のような、彩りのある大き目の柄がいいでしょう。一般的に裾模様が大きいほど若者向きとされているので、華やかな模様が多いです。いずれにしても、主役よりも目立たないような模様を選びましょう。以下の表に、黒留袖などに使われる模様の意味をまとめたので、参考にしてみてください。

黒留袖の模様の意味

意味・願い 模様
不老長寿 鶴・亀・鳳凰・龍・牡丹・松竹梅・桃
子孫繁栄 瓜・葡萄・唐子
円満な夫婦関係 相生の松・鴛鴦・貝桶
昇進 琵琶・藤・鯉
栄華栄達 七宝・宝船・扇
五穀豊穣 雪輪文様
成長祈願 桐・麻・竹

知っておくべき正しい黒留袖のマナー②肌着や小物などは白いものを着用する

知っておくべき正しい黒留袖のマナー、2つ目は「肌着や小物などは白いものを着用する」ことです。肌襦袢、裾避け、足袋は、基本的に白いものを選びます。長襦袢は、色が淡いものほどフォーマルとされています。礼装である黒留袖を着るときには、長襦袢は白いものを選ぶようにしてください。

半衿は、白地のものを選びます。半衿に金や銀の糸で刺しゅうがされているものだと、各が高くなるのでいいですよ。半衿は、あらかじめ長襦袢に縫い付けておきましょう。

草履やバッグなどの小物は、基本は金銀、または白が基調となっているものを選びますが、留袖の柄と帯、着る方の年代も考えて選びます。素材は何を使っていても、色のルールは必ず守ってくださいね。

知っておくべき正しい黒留袖のマナー③合わせる帯は格調のあるものを選ぶ


黒留袖に合わせる帯は、格調のあるものを選びましょう。丸帯が正式とされていますが、現在ではほとんど袋帯を用いています。古典模様、有職模様、吉祥模様などを友禅染にして、金銀の刺しゅうや金銀の箔をあしらっている格調の高いものを用いて、二重太鼓で結びます。

帯の柄は、着物の柄に合わせます。また、帯の地は色、または金銀などで、黒や濃い地色は選びません。色の選び方も気を付けることがあります。

帯締めと帯揚げにも黒留袖の決まりがあります。帯締めは白紋綸子、または白羽二重の丸ぐけが正式です。最近では、白、又は金銀の組みひもを用いることが多いです。次に帯揚げは、白綸子、または白羽二重が正式ですが、最近では総絞の帯締めが一般的になっています。どちらも白、金銀などの色を選びましょう。

【応用編】知ってるとかっこいい正しい黒留袖のマナー3選!

かっこいい正しい黒留袖のマナー①ふさわしい立ち居振る舞いをする

かっこいい正しい黒留袖のマナー、1つ目は「ふさわしい立ち居振る舞いをする」ことです。洋服と違い、着物はいつも通りの動きが着崩れにつながります。とくに、黒留袖で着崩れてしまうとみっともなく悪い意味で目立ってしまうので気を付けてください。

階段の昇り降りなど、足を上げる場合には注意が必要です。右手を上前に添えることで、裾が開いて崩れることを防ぐことができますよ。そして、裾を少し持ち上げることで歩きやすくなります。椅子に座る際は、帯も崩れないように浅く腰掛けましょう。

手を上げ伸ばしするときには、上げる手とは反対の手で袂を抑えます。袖口から腕や長襦袢が見えることを防いで、袖が汚れることも防ぐことができますよ。いつもより所作に気を付けて、上品な立ち振る舞いをしてください。関連記事では、結婚式の食事マナーについて紹介しているので、あわせてご覧ください。

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かっこいい正しい黒留袖のマナー②補正して正しく着付けること


かっこいい正しい黒留袖のマナー、3つ目は「補正して正しく着付けること」です。着物すべてにいえることですが、着物を着るのに理想の体型は「ずんどう型」です。そのため、胸の大きなひとは和装ブラジャーを使い胸を平らにして、ウエストにタオルをあてるなどをして体のラインがなだらかになるように補正します。

反対に、胸の小さなひとは胸やウエストにタオルをあて、なだらかな女らしい曲線が出るように補正します。こうすることで、着物を着たときに美しく見えるだけではなく、着崩れの心配も少なくなります。

着物を着崩して着ている人がいますが、それはカジュアルな着物で、そういうことが許されている場のみです。黒留袖の場合は、決して着崩してはいけません。着る機会の少ない黒留袖を着るときは、本当に大切な場です。非常識と思われないよう、着物は正しく着付けて下さい。

かっこいい正しい黒留袖のマナー③かんざしなど髪飾りについて

黒留袖を着る場合、かんざしなどの髪飾りを用います。付けなければいけないというマナーはありませんが、何もつけないと「丸坊主」といいよくないのです。少し小さめの控えめのものが好ましいですが、顔立ちや年齢、髪型、髪色によって、選ぶかんざしが変わってきます。

着物を着る場合の基本の髪型は、アップスタイルです。結婚式などは頭を下げることが多いので、みっともなく髪が落ちてこないようにまとめましょう。髪のボリュームを出した方が、バランスがよくなりますよ。

かんざしの柄にも意味があります。菖蒲だとしたら「菖蒲に繋がる」、蔦ならば「繁栄の象徴」など、いろいろ調べてみるのも面白いですね。その場にふさわしいかんざしを探してみてください。気をつけなければいけないことは、主役よりも目立ってはいけないということです。

意外とやりがち!悪い黒留袖のマナー例3選!

悪い黒留袖のマナー例①アクセサリーをつけている

悪い黒留袖のマナー例、1つ目は「アクセサリーをつけている」ことです。基本的に、着物を着るときには、アクセサリーは髪飾りと結婚指輪以外つけません。普段ピアスやネックレスをしているひとは、黒留袖を着ている間だけでも外すようにしましょう。

着物自体に美しい模様が描かれていて、帯も豪華なものなので、アクセサリーの必要はありません。帯揚げや帯締めがアクセサリーだというひともいます。また、身に付けているアクセサリーが着物に擦れてしまうことで、着物の生地を傷めてしまう事にもなってしまうので注意が必要です。

悪い黒留袖のマナー例②末広を使ってしまう

悪い黒留袖のマナー例、2つ目は「末広を使ってしまう」ことです。末広とは扇子のことで、ほとんどの間は帯にさしてあるものです。末広は、開くほうを上にむけて、自分から見て左側の帯と帯揚げの間にはさみます。帯から出しすぎないようにしてください。末広を使うのは、立礼のときや、挨拶のときなどに手で持ちます。

末広は「祝儀扇」と呼ばれていて、末広がりの形をしていることから、おめでたい気持ちを表しています。末広は扇子ですが、暑いからといって決して広げて仰いではいけません。悪いマナーなので、決してやらないでください。末広の正しい使い方は儀式用なので、帯にさしたらそのままにしておきましょう。

悪い黒留袖のマナー例③腕時計をつけている

悪い黒留袖のマナー例、3つ目は「腕時計をつけている」ことです。お祝い事のときに時計を見てしまうと、「時間を気にしている」と、「早く終わってほしい」など意味があるので、周りの方に悪い印象を与えてしまうことになります。

とはいえ、結婚式などでは、進行などでつい時間が気になってしまうこともあるかもしれません。どうしても時間が気になるというときは、腕時計をバッグに入れておくか、懐中時計などを帯に挟んで確認するようにしましょう。

黒留袖の正しいマナーを身に着けた大人になろう!

黒留袖の基本やマナーなどについて紹介しました。マナーや決まりごとがいろいろある黒留袖は、各が高い第一礼装なので、特にそれが重んじられています。結婚式や披露宴などで格の高い黒留袖を着ることが、招待したお客様への礼儀となります。礼儀を尽くし、美しく正しい着こなして、特別な1日にしてくださいね。

黒留袖は一式揃えようとすると、価格が高いものはどこまでも高くなってしまいますが、あまり着る機会がないからとレンタルするという方法もあります。五つ紋も、上からシールで貼って変えるという事をしている会社もあります。黒留袖を正しく着て、素敵な日をお過ごしください。


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