基本編|盆栽の幹を太くする方法とは?
綺麗な形状の幹をこけ順と呼ぶ
盆栽の幹には理想的な形があり、下に行くほど太く、上に行くほど細いのが美しいと言われています。そのような形状を「こけ順」と呼び、綺麗なこけ順にするには下の方の幹を太くする必要があります。
盆栽は元々の木の形が重要になるので、全体の太さを変えるのは難しいと言われています。しかし、部分的に太さを調節して形状を整える方法なら、多少太さの悪い盆栽でも綺麗に変えられますよ!
幹の一部を太くする方法
部分的に細くなっている幹を太くしたい場合は、細くなっている部分より上の枝を育てる方法がおすすめです。上の枝が成長することで、そこまで栄養を運ぶために幹そのものにも栄養が行き届くようになります。
時間はかかりますが、幹を育てるにはあえて枝を剪定せず、枝を成長させたままにしましょう。そして、幹が理想の高さになったら上の枝を剪定し、形を整えます。
幹の全体を太くする方法
幹の全体を太くするには、大きな鉢に植え替え、栄養を運ぶための犠牲枝を作るという2つの方法があります。盆栽は器も重要ですが、幹を育てるにはまず器の見た目ではなく大きさを重視したものに植え替えましょう。
そして、犠牲枝と呼ばれる長く伸ばした枝をあえて残しておきます。長い枝があることで、栄養を行き届けるために幹の成長がよくなります。理想的な太さになったら、好みの器に植え替え犠牲枝も剪定しましょう。
種類別編|盆栽の幹を太くする方法とは?
①黒松
盆栽の王道黒松は、肥料に強いというメリットがあります。太くする場合は肥料を与え、枝はある程度伸ばしっぱなしにしてよく育ったら剪定を繰り返します。枝が伸びたら切るを繰り返すと、幹が太くなりますよ!
盆栽は最初から形を整えたくなりがちですが、あえて枝を伸ばしっぱなしにすることで幹が太くなるメリットもあります。最初の2年ほどは幹を育て、好みの太さになったら枝を剪定しましょう。
②南天
赤い実が可愛い南天は、もともとそこまで幹が太くなるものではありません。しかし剪定をすればある程度育つので、花が咲く5~6月、実がなる12~3月に剪定をしましょう。切った枝は一輪挿しにしてもおすすめです。
花や実の付いた枝をカットするのは抵抗があるかもしれませんが、このタイミングで剪定した方が育ちやすくなります。枝は捨てずに飾って楽しみましょう。
③もみじ
秋に美しく紅葉するもみじは、最初に大きな鉢に植え幹や枝、根を十分に成長させるのがおすすめです。そして毎年植え替えをし、伸びすぎた根や枝をカットしながら育てるのが、幹を太らせるコツです。
まずは盆栽用の鉢ではなく、大きめの植木鉢などに植えるのもおすすめです。大きくなるにつれて鉢も大きくし、理想のサイズに成長したら、好みの鉢に植え替えましょう。
④イチョウ
綺麗な葉を付けるイチョウは、大きめの鉢に植え成長させ、鉢の底から根が出てくるくらいに育ったら植え替える方法がおすすめです。根詰まりを起こす前に、新芽が出てくる3~4月頃に植え替えしましょう。
もみじと同じく、まずは大きめの鉢で十分に幹を育てる方法がおすすめです。幹が太くなったら、余分な枝や根をカットし、好みの鉢に植え替えます。
⑤ガジュマル
観葉植物としても人気のガジュマルは、盆栽としても育てられます。日光に当てると幹が太くなるので、日当たりのいい場所で育てましょう。ただし、直射日光を当てすぎると葉焼けを起こすので、春先から少しずつ日光に慣らすのがコツです。
初夏や夏場にいきなり外に出すのではなく、冬の間は日当たりのいい室内の窓辺、春先は外の日光に当てるようにします。このように少しずつ外に慣らすことで、元気な幹に育ってくれます。
盆栽の正しい剪定方法とは?
①樹形を整えるための剪定
盆栽は定期的に剪定することで、綺麗な樹形が保てます。日常的な剪定は初春から秋口までの期間ならいつでもできます。落葉樹の盆栽は、剪定ばさみを使って余分にはみ出た不格好な枝をカットしましょう。
ただし、松などの針葉樹ははさみでカットすると枯れる原因になります。余分な葉を指先で摘み取るようにして剪定すると、枝にダメージを与えず整えることができます。
②葉を育てるための剪定
盆栽の葉を剪定することで、新しい葉を成長させる方法があります。これを「葉刈り」と言い、上手に行えば新しい葉を元気に育てることができます。ただし、葉刈りに適した木の種類は限られるので注意してくださいね。
新芽が伸びた5月末~6月末頃までに、枝についた葉をすべてカットします。さらに枝自体も3分の2くらいにカットします。その後脇芽が伸びてくるので、ある程度伸びたら先端の葉だけをカットし、整えます。
- けやき
- もみじ
- かえで
- 黒松
- 錦松
- 五葉松
- クチナシ
葉刈りにおすすめの木一覧
③太い枝をカットする剪定
盆栽を綺麗な形にするには、太く育った枝もカットする必要があります。しかし、一度剪定すると取り返しがつかないので、全体の形をよく見て慎重に剪定を行ってくださいね。
季節は初春から晩春あたりに行い、まず枯れた枝をすべてカットします。全体をよく見て、2本伸びた枝があるうちの1本をカットします。幹から垂直に伸びた枝、曲がったりねじれたりした枝、邪魔になる枝などを取り除くようにしましょう。
なお、盆栽よりもサイズが小さく可愛らしいミニ盆栽の作り方は、別の記事で詳しく紹介しています。まずは小さなものから試したいという方は、こちらの記事も参考にしてくださいね!
盆栽の正しい水やり方法とは?
季節ごとの水やりの目安
盆栽の水やりは、春秋の場合1日1回、夏の場合は1日2回、冬の場合は2日に1回に行うのが理想的な目安です。また、水やりのタイミングとして、土の表面が乾いたら行うという方法もあります。
土がまだ湿っている状態で水やりを行い過ぎると、根腐れを起こす原因になります。しかし、乾燥し過ぎても枯れてしまうので、土が乾いたらすぐに水やりを行うようにしましょう。
水やりの方法
盆栽に水やりを行うときは、ハス口のキャップを付けたじょうろでシャワーになるようにします。ドバドバと水を入れると、土や砂が流れてしまうので気を付けてくださいね。
じょうろの位置はやや高めに、優しく振りながら水を与えるのがコツです。水の量は、鉢の底から溢れるほどたっぷり与えます。これによって、鉢の中にたまったガスや空気を水と一緒に外に出し、内部を清潔にする効果も得られます。
定期的に水やりができない場合は腰水を使う
どうしても水やりができないという場合は、腰水という方法で水を与えます。まずは園芸用の大きくて底が深いトレーを用意します。盆栽が鉢ごとすっぽりと入るサイズを選びましょう。
トレーの中に盆栽を鉢ごと入れたら、鉢に対して4分の1程度の位置に水がひたるよう、トレーに水を入れます。そして、涼しい日陰に置いておきます。夏場に数日間出かけるときなどは、この方法で水切れしないように管理してくださいね。
盆栽を正しく植え替えするには?
植え替えを行うタイミング
盆栽は水やりの際鉢に水が染みこまなくなったり、鉢の底から根が出てきたりしたら植え替えの合図です。根詰まりを起こすと十分に育たなかったり、しっかりと栄養が吸収できなくなったりするので注意しましょう。
植え替えを行う季節は春か秋です。暑い夏や寒い冬に植え替えを行うと、木そのものが弱ってしまい、最悪の場合枯れてしまいます。気候が穏やかな春か秋のシーズンに、今のものより大きな鉢に植え替えましょう。
植え替えに必要な道具
盆栽は単に大きな鉢へ植え替えればいいというわけではありません。綺麗な形になるように、固定するための道具も必要になります。道具は園芸用のものを使いましょう。
また、植え替える鉢は現在植えているものよりも大きければ、どのようなものでも構いません。盆栽は木と鉢の相性やバランスも重要になるので、見た目のデザインも重視して選んでくださいね。
- 新しい鉢
- 鉢底ネット
- アルミ線
- 園芸はさみ
- ペンチ
- 菜箸
- 盆栽の用土
植え替えに必要な道具一覧
植え替えの方法
盆栽を植え替えるときのポイントは、新しい鉢に植えた際アルミ線を使って盆栽を固定することです。しっかり固定すると、形が崩れないまま根が固定されるので、おすすめですよ!
また、植え替える前に余分な根をカットすることで、より元気に成長します。伸びすぎている根ははさみでカットしコンパクトにまとめると、栄養の吸収のいい元気な盆栽に仕上がります。
- 1新しい鉢の底に、鉢底ネットを敷きます。
- 2鉢底ネットの隙間にアルミ線を通し、ある程度長めの長さでカットします。
- 3鉢から盆栽を抜き、菜箸で根に付いた余分な土を落としていきます。
- 4伸びた余分な根を、はさみでカットします。
- 5新しい鉢に、盆栽用の土を半分ほど入れます。
- 6盆栽を鉢に入れ、動かないよう鉢底に入れたアルミ線を巻きつけ固定します。
- 7アルミ線の左右をペンチでねじり、しっかり固定出来たら余分な部分をカットします。
- 8上から盆栽用の土を入れ、根の間の隙間に埋め込むようしっかりと押し込みます。
- 9土とアルミ線で固定され、グラグラしなければ完成です。
盆栽を植え替える手順
植え替え後の水やり
盆栽を植え替えたら、忘れないようにしっかりと水やりを行います。植え替えた盆栽は刺激で弱っているので、必ずたっぷりのお水を与えていたわってあげてくださいね。
水やりの方法は、通常の水やりと同じくハス口を付けたじょうろで行います。このとき、一度水やりをしたらしばらく時間を置き、もう一度水やりをすると、隅々まで水を行き届けることができます。
盆栽の育て方を覚えて立派な盆栽に仕上げよう!
盆栽の幹を太く立派に育てるコツは、幹の部分にしっかりと栄養を与えることです。見た目重視で剪定を行いがちですが、はじめはあえて枝や根を十分に伸ばすことで幹も成長します。正しい方法で元気な盆栽を育てましょう!
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