しめ縄とは、お正月に玄関などに飾られている藁を編んで作られたもので、「注連縄」「標縄」「七五三縄」「占縄」とも書きます。日本では、お正月に幸運をもたらす歳神様をお迎えするために、しめ縄を飾るという伝統が古くからあります。
しめ縄の意味とは?
意味①神域と現世を隔てる結界
しめ縄を飾ることにきちんとした意味があるのはご存知でしょうか。お正月に歳神様が高い山から降りてくるために目印となるのが「しめ縄」です。歳神様が降りてきたしめ縄には邪気を祓うパワーが宿り、しめ縄がある場所は神聖な場所になるといわれています。
意味②朝鮮の「禁縄」の名残
しめ縄の由来は、日本神話に登場する「天岩屋戸」が起源だといわれています。天岩屋戸の説では、その昔天の岩戸から出てきた天照大神が再び岩戸に戻らないようにしめ縄で封印したとされています。一方では、朝鮮の「禁縄」が日本に運び込まれてきたともいわれています。
意味③歳神様の目印
歳神様が山の上から各家庭に降りてこられる時に目印になると言われているのが「しめ縄」です。日本では昔からのいい伝えで、お正月に幸運をもたらす歳神様をお迎えするためにしめ縄を飾ることが習慣づけられていました。
意味④漢字の語源
しめ縄は同じ読み方ですが漢字では「注連縄」「標縄」「七五三縄」「占縄」のような4種類の異なる書き方があり、それぞれには意味があります。漢字の語源を読み解くことで、しめ縄の意味や語源が理解できますので、ご紹介しましょう。
「標縄」は、高貴な人間の占有した場所に一般者の立入りを禁ずるという意味があります。「注連縄」は死霊が入らないようにする結界を中国では「注連」ということからあやかった書き方です。「標縄」と「注連縄」は、しめ縄本来の語源「占める」からきていますが、「七五三縄」の語源だけは2つの語源とは異なります。
では、「七五三縄」と書いてしめ縄と読む語源について注目して見ましょう。「七五三縄」とは縄の状態を表していることから「七五三縄」と表記されました。七五三縄は藁を綯って作られますが右から7本、5本、3本となることから「七五三縄」と書かれるようになりました。日本の節句である七五三とは関係ありません。
意味⑤お正月飾り
「しめ縄」は神社や神棚で見るような藁を編んだものを指し、「しめ飾り」は家庭で見るようなしめ縄に縁起物の飾りがついたものをいいます。しめ飾りの飾り物には「橙」「紙垂」「裏白」「ゆずり葉」などの縁起物が使われており、きちんとした意味があります。
「橙」は葉が付いている柑橘類を使用しますが、これは代々繁栄することを願って用いられます。「裏白」は鏡餅の敷物に使われているものと同じで、長寿の願掛けを意味します。稲妻の形で作られた「紙垂」は神様の聖域を表し、「ゆずり葉」は子孫繁栄を意味しています。
お正月飾りについている「紙垂」は自分でつくることが可能です。紙垂のつくり方や飾り方に興味のある方は、こちらの記事を参考にしましょう。
しめ縄の飾り方の種類【地域編】
しめ縄の飾り方の種類【地域編】①大根しめ縄
しめ縄には色々な飾り方があります。野菜の大根に似た形から「大根しめ縄」といわれるしめ縄の飾り方は、おもに東日本で飾られていることが多い飾り方です。神社では右側から太く左側が細くなる向きで飾られています。これは「入船」といい金運、幸福を呼び込むことを意味します。
しめ縄の飾り方の種類【地域編】②ごぼうしめ縄
大根しめ縄に似ている飾り方が野菜の「ごぼう」のようなしめ縄で「ごぼうしめ縄」といいます。大根しめ縄よりも細く一見、端から端まで同じ太さのようですがごぼうのように片方の端だけ細くなっているしめ縄がごぼうしめ縄といい、おもに西日本で見られることが多いでしょう。
しめ縄の飾り方の種類【地域編】③ごぼうしめ縄+前垂れ
均等に細く作られているごぼうしめ縄に、〆の子と紙垂が飾られているものを「ごぼうしめ縄+前垂れ」といいます。地域に関係なく全国的に神社でも飾られているしめ縄の飾り方で、ご家庭や会社の神棚でも見かけたことがあるしめ縄の付け方でしょう。
しめ縄の飾り方の種類【地域編】④玉締め
「玉締め」という飾り方は、お正月に玄関などの場所で見かけることが多いでしょう。家庭用のものは、均等に細く編まれたしめ縄の頂点を玉のように何度も編み込んで作られたものです。一般家庭では縦型の玉締めを見かけることが多いでしょう。
しめ縄の飾り方の種類【地域編】⑤輪締め(丸締め)
「輪締め」は「丸締め」という飾り方は、均等に細く編まれたしめ縄を輪っかにして結ばれたしめ縄のことをいいます。お正月に玄関や車などの場所に飾られているしめ縄の多くは「輪締め」でしょう。神社で行われる「茅の輪くぐり」で見かける画像のような輪とよく似ています。
しめ縄の飾り方の種類【地域編】⑥海老締め
「海老締め」は海洋生物の海老の形をしたしめ縄の飾り方のことをいいます。海老は真っ赤で威勢が良く、目が飛び出ていることから「目出たい」縁起の良い食べ物といわれており、健康長寿を祈願するためにお正月のお節にも入っています。このことから海老締めというものが生まれてきたのではないでしょうか。
しめ縄の飾り方の種類【伝統編】
しめ縄の飾り方の種類【伝統編】①亀飾り
亀の形をした「亀飾り」という飾り方は、玄関や家の中などの場所に飾ることができるしめ縄です。「亀は万年」という言葉がありますが、亀のように長生きすることを願って亀の形でつくられています。亀飾りとは昔ながらの伝統的なしめ縄の付け方です。
しめ縄の飾り方の種類【伝統編】②鶴飾り
鶴の形をした「鶴飾り」という飾り方は、玄関や家の中などの場所に飾ることができるしめ縄です。「鶴は千年」という言葉がありますが、鶴もまた、亀と同じように長寿の生き物であり縁起物として昔から言い伝えられてきました。鶴飾りとは昔ながらの伝統的なしめ縄の飾付け方です。
しめ縄の飾り方の種類【伝統編】③祝結び
輪っかが何個もできる「祝結び」とは、1度結んだら2度とほどけないことから「家内安全」のご利益があるといわれている結び方です。伝統的な結び方ではありますが、アメリカのインディアンの間に伝わるドリームキャッチャーにどことなく似ているので若い人に好まれる飾り方の1つといえるでしょう。
しめ縄の飾り方の種類【伝統編】④祝酉
とりは昔から「神使い」といわれ縁起が良い生き物といわれているため、とりの形をした「祝酉」という種類のしめ縄が作られました。酉(とり)という言葉にあやかり、「とりこむ」という願いを込めたため「商売繁盛」のご利益があるといわれています。
しめ縄の飾り方の種類【おしゃれ編】
しめ縄の飾り方の種類【おしゃれ編】①8の字形
こちらの画像は「8の字形」のしめ縄です。しめ縄で2つの輪っかをつくり、輪っかのつなぎ目に花や葉を飾ることで豪華な仕上がりに見えることでしょう。これまでのしめ縄のイメージをくつがえすほどの新発想のしめ縄です。
しめ縄の飾り方の種類【おしゃれ編】②メガネ形
こちらの画像のしめ縄は「メガネ形」になっています。真っ赤なしめ縄に金色が添えてあるので、どこか高級な雰囲気に見えるのではないでしょうか。メガネ形は「8の字形」のしめ縄のつくり方に似ていますが角度が変わると表情が違ってみえることでしょう。
しめ縄の飾り方の種類【おしゃれ編】③リース形
しめ縄アレンジの中で近年1番多く見られるのが「しめ縄リース」です。クリスマスリースのような雰囲気なので、気軽に玄関に飾ることができるのが人気の理由のようです。手軽にご自宅でつくることができるのでとても人気があります。
しめ縄の飾る向きや場所は?
向きや場所①玄関では右側が太くなるように
しめ縄は「綯いはじめ」は太く、「綯いおわり」は細くなる「左綯い」になっています。一般的にしめ縄の向きは右側が太くなるように飾りますが、東や西の地域により、しめ縄の向きを逆に飾る場合があります。地域の風習によってしめ縄の向きは変わるので、住んでいる地域の風習にならうと良いでしょう。
向きや場所②神社では左側が太くなるように
しめ縄の向きには右が太くなる「入船」と左が太くなる「出船」という付け方があります。神社でしめ縄を飾る向きは「入船」の付け方が一般的です。これには意味があり、右が神様にまつわるものとして「上」と捉え、左が俗物的な「下」という意味から、神社では幸福が訪れることを祈念して入船で飾られていることが多いです。
向きや場所③会社の神棚では太陽が強い向きに合わせる
神棚でのしめ縄の向きは、太陽の向きに関係しています。神棚は飾り方は、神棚の正面の向きが南か東になるように配置すると良いといわれています。そして、神棚に飾るしめ縄は太陽が強い向きに太い方を飾る風習がありますが、住んでいる場所や間取りよってしめ縄の向きが変わる場合があるでしょう。
向きや場所④家庭の神棚では職業によって変える
家庭でのしめ縄の向きは、大黒柱の働き方によって変える風習があります。商売をしている家庭の場合は、商売繁盛を祈願するためお客さんやお金が入るように「入船」で飾り、サラリーマンのように外で稼いでくる家庭では、外に悪い邪気などを排出するため「出船」で付け方をしましょう。
しめ縄の飾り方は?
しめ縄の飾り方①吸盤フック
最近の家庭用しめ縄は、しめ縄じたいに輪っかなど取り付けやすく工夫してありますので、輪っかがついているタイプであれば、玄関のドアなどに取り付ける際には吸盤フックでかんたんに取り付けることが可能です。水回りの付近に飾る場合も、吸盤フックは役に立つでしょう。
しめ縄の飾り方②針金と釘
しめ縄に輪っかがついていないタイプの場合の取り付け方は、釘や針金で固定する付け方があります。しめ縄を支えるように軽く針金で包みこみ、針金の端などを釘を合わせトンカチなどで打ち付けましょう。この時、しめ縄を傷つけないように注意しましょう。
しめ縄の飾り方③紐
神社では紐で縛る方法をとっています。ご家庭でも紐で結べるような場所があればこの方法も活用できることでしょう。100円ショップでも紐は売っていますので、紐を買ってきてしめ縄の端と端を紐でくくり柱など、紐で結べるところにしっかりと結びましょう。
しめ縄を飾る時期や処分方法とは?
しめ縄は12月13日から12月28日までの間に飾る
しめ縄を飾る正式な時期は「すす払い」の後の12月13日から12月28日までの間に飾ると良いといわれています。そして、反対にしめ縄を飾ってはいけないといわれている日は、9日から「苦」を連想させる「くんち飾り」という29日と、「一夜飾り」になってしまう12月31日には縁起が悪いので飾ってはいけません。
しめ縄は12月13日から1月7日の間に取り外す
しめ縄とは外す(交換)する時期が決まっています。しめ縄を取り外す時期は「松の内」が良いとされていますので「12月13日から1月7日」に行うことが良いでしょう。しかし、関西の松の内の時期は「12月13日から1月15日」ですので、一般的には、「1月15日」の鏡開きに取り外すと良いといわれています。
しめ縄は神社で処分してもらう
一般的なしめ縄の処分方法は、神社で開催されている「どんど焼き」に持っていく方法で1番のおすすめの処分方法です。どんど焼きは日にちが指定されていますので、その日に行かれなくても神社では常にお焚き上げをしてくれるので問題ありません。
しめ縄を自宅で処分する場合はお清めをする
自宅でしめ縄を処分しなければならない場合は、しめ縄を丁寧にほどいたあと塩やお酒でしっかりとお清めをしたあとに新聞紙などにくるんで、一般ゴミの日に処分することができます。お清め方法に不安がある方は神社へ納めるようにしましょう。
1年間の感謝を込めて「しめ縄」を飾ろう
「しめ縄」とは日本の伝統であり文化です。お正月にはどこのご家庭でも飾られる「しめ縄」の風習は古き良き伝統ですので、1年の終わりには必ず忘れずに「しめ縄」を飾り、1年間の感謝の気持ちを込めて新年を迎えましょう。
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