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故事成語の意味とは?

故事成語の意味とは①故事を語源とする慣用句

本を見てほほ笑む女性

故事成語の意味1つ目は、「故事を語源とする慣用句」ということです。中国の昔から伝わる話を「故事」と言い、ひとまとまりで慣用的に用いられる言葉が「成語」です。このことから「故事成語」は、「中国の故事を語源とする慣用句」を意味します。

故事成語の中でも端的な意味を持つ「完璧」「左遷」「矛盾」「圧巻」などの語句は、すばやく相手に要点を伝えることができるため、日本語として定着しています。「この言葉って故事成語だったの?」と思われる方も多いかもしれませんね。

故事成語の意味とは②司馬遷の歴史書「史記」に記されている言葉

ノートにメモする

故事成語の意味2つ目は、故事成語は「司馬遷(しばせん)の歴史書「史記」に記されている言葉」ということです。中国の歴史的な逸話や出来事をもとにして生まれた言葉は、一つひとつに物語があります。違う故事成語であっても、同じ時代で活躍する人物の登場や視点を変えた物語もあります。「背水の陣」と「四面楚歌」等。

    【史記】主な故事成語一覧・意味|著者:司馬遷

  • 臥薪嘗胆(がしんしょうたん):復讐心を掻き立てるために苦難に耐えること。「史記・越王句践列伝(えつおうこうせんれつでん)」
  • 背水の陣(はいすいのじん):失敗すればすべてを失くすという覚悟で全力を尽くすこと。「史記・淮陰侯列伝(わいいんこうれつでん)」
  • 四面楚歌(しめんそか):敵に囲まれて孤立無援の状態であること。「史記・項羽本紀(こううほんぎ)」
  • 完璧(かんぺき):欠点や足りないところがなく立派であること。「史記・廉頗藺相如列伝(れんぱりんしょうじょれつでん)」
  • 左遷(させん):今までの地位から低い地位へ落とすこと。「史記・項羽本紀」
  • 敗軍の将は兵を語らず(はいぐんのしょうはへいをかたらず):失敗した者は、弁解がましいことを言うべきではない。「史記・淮陰侯列伝」
  • 抜山蓋世(ばつざんがいせい)」山を抜き取るほどの強大な力と世を覆いつくす気力があること。「史記・項羽本紀」

故事成語の意味とは③陳寿の歴史書「三国志」に記されている言葉


図書館

故事成語の意味3つ目は、故事成語は「西晋(せいしん)の陳寿(ちんじゅ)による歴史書「三国志」に記されている言葉」ということです。三国志は、司馬遷が活躍していた中国前漢時代よりも後の時代で、魏(ぎ)・呉(ご)・蜀(しょく)三国の歴史が記されています。

時代と国を越えて語り継がれる故事成語には、人生訓が込められているといっても過言ではありません。困った時の知恵となり、手がかりを見つけることにも繋がります。一つひとつの故事成語には、成り立ちの物語があります。時代の背景や由来となっている歴史上の出来事を知ること、正しく意味を理解して使うことも大切です。

    【三国志】主な故事成語の一覧・意味|著者:陳寿

  • 水魚の交わり(すいぎょのまじわり):水と魚のように離れることのできない親密な間柄のこと。「三国志蜀書(しょくしょ)」
  • 苦肉の計(くにくのけい):自分の身を苦しめて敵を欺くこと。「三国志演義(えんぎ)」
  • 白眉(はくび):多数あるもののうちで、最も優れているものや人。「三国志蜀書」
  • 千載一遇(せんざいいちぐう):千年に一度しか巡りあえないほどの稀な機会のこと。「三国名臣序賛(めいしんじょさん)」
  • 呉下の阿蒙(ごかのあもう):昔のままで進捗がないこと。「三国志呉書呂蒙(ごしょりょもう)伝注」
  • 泣いて馬謖を斬る(ないてばしょくをきる):秩序や規律を守るため、愛する者でも私情を挟まず処罰せざるをえないこと。「三国志蜀書」
  • 髀肉の嘆(ひにくのたん):活躍することや、功名をたてる機会がなく嘆くこと。「三国志蜀書」

故事成語とことわざの違いは?

故事成語とことわざの違い①故事成語は深い意味をもつが馴染みが薄い

はてな女子

故事成語とことわざの違いは、次のようなことが挙げられます。故事成語は、中国の歴史的な出来事や逸話から生まれ、国と時代を越えて受け継がれている言葉(成語)です。昔の中国の逸話は、日本人としては馴染みが薄いものが多いですが、中国で生まれた遠い昔の出来事に由来している故事成語は、深い意味を持っています。

    「故事成語」でもある主なことわざ一覧・意味

  • 青は藍より出でて藍より青し(あおはあいよりいでてあいよりあおし):弟子が師匠(先生)よりも優れていること。「出典:荀子」
  • 過ぎたるは猶及ばざるが如し(すぎたるはなおおよばざるがごとし):何事もほどほどが丁度いいということ。「論語」
  • 蛍雪の功(けいせつのこう):貧しい中で苦労を重ねて学問をすること。「晋書」
  • 覆水盆に返らず(ふくすいぼんにかえらず):一度してしまったことは取り返しがつかないというたとえ。「拾遺記」
  • 韓信の股くぐり(かんしんのまたくぐり):大志を抱く者は屈辱にたえるということ。「史記」

故事成語とことわざの違い②ことわざは直接的な表現で日本人に馴染みやすい

本を持ちほほ笑む女性

ことわざは、先人の知恵や経験をもとにした教訓や生活のコツなどが直接的に表現されています。日本人に解りやすい表現で馴染みやすい言葉です。故事成語とことわざの区別は難しいと思われる方が多いです。何故なら、分類は一つだけに限らないからです。「故事成語とことわざのどちらにも分類される」言葉があります。

    主なことわざ一覧・意味

  • 果報は寝て待て(かほうはねてまて):じたばたせずに気長に焦らず待っていれば幸運はやってくるということ。
  • 医者の不養生(いしゃのふようじょう):立派なことを言っていても自分では実行が伴わないこと。
  • 漁夫の利(ぎょふのり):苦労もしないで利益を横取りすること。
  • 対岸の火事(たいがんのかじ):自分には無関係で痛くもかゆくもないことのたとえ。
  • 虻蜂取らず(あぶはちとらず):両方のものを得ようとしてどちらも取り逃がすこと。

故事成語と慣用句の違いは?

故事成語と慣用句との違い①故事を語源とする点が違う!故事成語も慣用句

本を読む女性2

故事成語は「故事を語源とする慣用句」です。そして、慣用句(イディオムとも言う)は、二語以上の決まった結びつきをする言葉を言います。例えば「頭」と「固い」の二語を合わせて「頭が固い」というひとまとまりの言葉になります。

頭が固いとは、「柔軟な考えができず融通が利かない」という意味です。語源は故事にはあたりませんので、故事を語源とする故事成語とは異なります。


故事成語と慣用句との違い②慣用句は体の一部を用いる表現が多い

重なる本

前述したとおり、故事成語は「故事を語源」としている慣用句ですので、普段私たちが使っている慣用句とは違います。私たちが会話や文中で使う慣用句は主に、体の一部が用いられる表現が多く、中国の昔話が語源となっている故事成語とは異なります。

    慣用句の主な一覧・意味

  • 眉を寄せる:不快な気持ちになった時に眉が寄ったような表情をすること。
  • 顔色を窺う:相手の顔を見て、その人の心情を探ろうとすること。
  • 鬼の目にも涙:思いやりの気持ちがない人にも、時には憐れむ心を起こすことのたとえ。
  • 耳が遠い:耳が良く聞こえないこと。
  • 口裏を合わせる:あらかじめ内密に約束していたことを表面上で矛盾がないようにすること。

故事成語と四字熟語の違いは?

故事成語と四字熟語との違い①四字熟語にも故事成語が含まれる

子どもと本を読むママ

四字熟語は、漢字四文字で作られた熟語や成語のことで「四文字熟語」「四字成語」とも言います。四字熟語にも故事成語が含まれます。そのため、四字熟語という分類だけではなく「四字熟語でもあり故事成語である」と言ったように、同じ分類になる言葉が多くあります。

広い意味では、漢字四文字が並ぶ語は四字熟語とされていましたが、狭い意味での四字熟語は、「慣用句として用いられる言葉」と言われています。広義での四字熟語は無数に挙げることができるため、熟語の構成を見ただけで意味が解るような「高速道路」「株式会社」などは四字熟語ではないと言われています。

    【故事成語】でもある主な四字熟語の一覧

  • 画竜点睛(がりょうてんせい):最後の大事な仕上げのこと。「水衡記」
  • 温故知新(おんこちしん):昔の事柄を調べて、新しい知識や見解をひらくこと。「論語」
  • 切磋琢磨(せっさたくま):友人同士で互いに励ましあって向上すること。「詩経」
  • 明鏡止水(めいきょうしすい):わだかまりのない澄み切った静かな心の状態のこと。「荘子」
  • 呉越同舟(ごえつどうしゅう):敵対する者同士が同じ利害のために協力することのたとえ。「孫子」

四字熟語との違い②四字熟語と故事成語には明確な分類はない

パソコンする男性

故事成語は中国の逸話がもとになった慣用句、四字熟語は日本生まれの四字熟語、と言うように明確に区別されていると解りやすいのですが、中国で生まれた故事成語も四字熟語として日本で定着しているものがあります。例えば「臥薪嘗胆」「温故知新」「捲土重来」「画竜点睛」等です。四字熟語であり故事成語でもあるのです。

    四字熟語の主な一覧・意味

  • 疑心暗鬼(ぎしんあんき):疑う心を持っていると何でもないことも疑わしく思えるというたとえ。
  • 泰然自若(たいぜんじじゃく):落ち着いていて物事に動じないさま。
  • 一期一会(いちごいちえ):一生に一度しかない出会いのこと。
  • 十人十色(じゅうにんといろ):考え方や好み・性質などが各人それぞれに違うこと。
  • 才色兼備(さいしょくけんび):女性が優れた才能を持っていて、顔かたちも美しいこと。

故事成語・ことわざ・慣用句・四字熟語を使った会話を楽しもう!

手を合わせる男女

今回は、故事成語の意味と慣用句、四字熟語、ことわざとの違いについてご紹介しました。ことわざは、先人の知恵や経験をもとに生活のコツとして役立つ大切な教えです。慣用句は、二語以上の決まった結びつきをする言葉で、主に体の一部などが用いられた表現として用いられています。

四字熟語は慣用句として用いられる言葉と言われ、故事成語も定着しているものが多いです。これらの一つひとつを見ていくと、それぞれの特徴がありますが、故事成語と慣用句、故事成語と四字熟語、と言ったように同時に分類される言葉もあります。それぞれの特徴を駆使し、日常やビジネスシーンでの会話を楽しみましょう!

下記の記事では、人気・有名・教訓のよく使える簡単なことわざをまとめています。故事成語と、ことわざの両方にあたる言葉も紹介していますので、参考にしてみてくださいね。

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