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花火の掛け声の「たまや」の語源・由来は?

花火の掛け声の「たまや」は玉屋という屋号が語源

赤いビー玉

花火の掛け声の「たまや」についての1つ目は、「たまや」は「玉屋」という屋号が語源だということです。屋号とは、現在でいうところの会社名や店名にあたるもののことです。「玉屋」は、江戸時代に高い人気を誇っていた花火師の屋号だったのです。

玉屋が花火師として創業したのは、1808年のことです。第11代将軍である、徳川家斉が江戸を収めていた時代ですね。玉屋が創業した時代には、すでに花火大会といえるものが存在していました。現在の隅田川花火大会の原型となる、両国の川開きで、橋の上流で花火をあげることを任されていたのが玉屋となります。

POINT

日本の花火の歴史は1543年から

日本の花火の歴史は、1543年に鉄砲伝来とともに火薬が伝わったことから始まります。いつごろから花火として楽しまれるようになったのかは定かではありませんが、現在の花火に近いものは、1613年ごろの三河地方に存在していたという記録があります。玉屋よりも、だいぶ前の時代から花火は作られていたんですね。

花火の掛け声の「たまや」はお稲荷様の持つ玉に由来する

水晶玉で占う女性

花火の掛け声の「たまや」についての2つ目は、玉屋という屋号の由来は、お稲荷様が持つ玉にあるということです。稲荷神社にいるお稲荷様の像をよく見てみると、口に何かをくわえていることがあります。稲穂や巻物をくわえているものもいれば、玉をくわえているものもいます。

お稲荷様の玉は、「神様の霊徳」「宝珠」「米蔵」を象徴します。玉屋の屋号は、お稲荷様の玉にあやかって名付けられたものだったのです。また、お稲荷様は、穀物の神様として知られていますが、商売繁盛のご利益も司ります。さらに、火を扱う職業の人たちにとっては防火の神様でもありました。

木造の建物が密集していた江戸の町では、火災は何よりも恐れられていたものでした。たとえ失火であても、厳罰を科せられる可能性があった時代です。火を扱う花火師が、火伏せの神様であるお稲荷様にあやかって、火災を起こさないようにしたいと考えるのは当然のことと言えます。

花火の掛け声の「たまや」は花火の競い合いから生まれた


夜空を見上げる二人

花火の掛け声の「たまや」についての3つ目は、花火の競い合いから生まれたということです。当時の江戸の町には、たくさんの花火師が存在していました。両国の川開きで、玉屋が上流で打ち上げていたように、下流でも打ち上げを任されていた店があったのです。

花火見物に出向いた江戸の庶民は、上流と下流で交互に打ち上げる花火を見て、良いと思った方の屋号を叫ぶようになりました。玉屋は、江戸いちばんの人気を誇っていた花火師だったため「たまや~!」という声は多くあがっていたと言われています。競い合いでの掛け声が定着して、現在に至るわけですね。

花火見物といえば、浴衣がつきものですね。着付けてもらうのも良いですが、ポイントさえ押さえれば、初心者でも自分で着ることができます。こちらの記事で、自分で着付けをする方法を紹介しているので、あわせてご覧ください。

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花火の掛け声の「たまや」だけが現代に続く

パーティーの会場

花火の掛け声の「たまや」についての4つ目は、掛け声だけが現代に続いているということです。江戸の町いちばんの人気を誇った玉屋ですが、悲しいことに一代限りで途絶えてしまいました。花火の出来が悪くなったというわけではなく、1843年に失火による火災を起こしてしまったことが原因です。

店だけでなく、約1500坪の町並みを焼いてしまうほどの火災となってしまったため、厳罰に処されてしまったのです。財産をすべて没収されたうえに、江戸を追放されるという罰が科せられ、玉屋は歴史の中へと消えてしまいました。花火師として活躍したのは、わずか35年ほどのことです。

店は消えても「たまや~!」という掛け声が残ったことから、江戸の庶民から深く愛されていたことが分かりますね。玉屋がなくなって150年以上が過ぎた現代でも、掛け声は不滅です。

花火の掛け声の「かぎや」の語源・由来は?


花火の掛け声の「かぎや」は鍵屋という屋号が語源

コインの上の鍵

花火の掛け声の「かぎや」についての1つ目は、「かぎや」は「鍵屋」という屋号が語源だということです。玉屋と同じ江戸時代の花火師の屋号ですが、第4代将軍・徳川家綱の時代である、1659年の創業となります。花火師として、最も古くから江戸で知られていた屋号です。

創業当時は、小型のおもちゃ花火が専門でした。しかし、大型花火の研究を続けることで、1711年に隅田川で初めての花火を打ち上げることに成功しています。1733年に、隅田川花火大会の原型となる、両国川開きの花火大会が創始された際も、20発ほどの花火を打ち上げたと言われています。

POINT

両国川開きが日本初の花火大会

1733年に鍵屋が花火を打ち上げた両国川開きは、日本初の花火大会だとされています。ちょうど、飢饉による餓死者や、コレラの流行による死者が多かった年のことでした。慰霊と悪霊退散の意味で、水神祭を催すことがきっかけだったと伝えられています。現在の花火大会のルーツとなった催しです。

花火の掛け声の「かぎや」はお稲荷様の持つ鍵に由来する

鍵を持つ女性

花火の掛け声の「かぎや」の語源・由来の2つ目は、鍵屋という屋号の由来は、お稲荷様が持つ鍵にあるということです。お稲荷様がくわえるものは、玉だけではなく鍵もありました。稲荷神社において、玉と鍵は、「陰と陽」「天と地」という2対を象徴するものでもありました。

ちなみに、お稲荷様の鍵は「霊徳を身につけようとする願望」「米蔵の鍵」といったものも象徴します。そして、「鍵屋」が暖簾分けをして生まれた店が、「玉屋」だったのです。8代目鍵屋の時代に、鍵屋の番頭であった人物が玉屋を立ち上げました。

玉屋が屋号にお稲荷様の玉を選んだ理由の一つに、鍵屋から暖簾分けした店だったこともあるんですね。鍵と対をなす玉を、屋号にしたのだと伝えられています。

花火の掛け声の「かぎや」は玉屋との競い合いから生まれた


夜の会場

花火の掛け声の「かぎや」についての3つ目は、玉屋との競い合いで「かぎや」という掛け声が生まれたということです。両国川開きで、川の下流で花火を打ち上げて、玉屋と競い合っていたのは鍵屋だったんですね。鍵屋の花火ファンが、「かぎや~!」と叫んでいたことから掛け声として定着しました。

鍵屋は、両国川開きが創始された当初から、花火を打ち上げていた老舗でした。しかし、玉屋が暖簾分けをした後は、江戸の庶民の人気を二分するようになりました。玉屋が失火で江戸を追放されるまでは、むしろ玉屋のほうが人気は高かったのです。

花火の掛け声の「かぎや」は現代も屋号とともに残る

ハンモックと夜空

花火の掛け声の「かぎや」についての4つ目は、現代も掛け声とともに屋号が残っているということです。『株式会社宗家花火鍵屋』という名前で、最も古くから現存する、日本の花火業者となっています。玉屋は一代で途絶えてしまいましたが、「かぎや~!」の掛け声を受ける「鍵屋」は21世紀の時代も健在なんですね。

ちなみに、鍵屋15代目を襲名しているのは、女性花火師です。扱う花火も進化していて、総合芸術としての、クオリティが高い花火が作られています。掛け声も屋号も、江戸時代から受け継いでいるなんてロマンがありますね。

「たまや」と「かぎや」以外の掛け声の種類は?

「ふかがわやー!」とはゲームから生まれた掛け声の種類

ゲームを楽しむ男女

掛け声の種類には、ゲームから生まれた「ふかがわやー!」というものがあるということです。こちらは現実の花火大会ではなく、『#コンパス~戦闘摂理解析システム~』というスマホゲームに登場する、「深川まとい」という見習い花火職人の名前から派生したものです。

対戦ゲームなので、鑑賞というよりも、武器として花火を使用しているキャラですね。「たーまやー!かーぎやー!深川屋ー!ってなもんよ!」というセリフがあることから有名になったと考えられます。北海道の深川市で行われる花火大会や、東京の深川八幡祭りなどで叫ばれているかもしれません。

新しい種類の掛け声が生まれる可能性もある

指先から流れる光

掛け声の種類は、新しく生まれる可能性があります。花火の正式な掛け声は「たまや」と「かぎや」の2種類だけですが、もとは競い合いから生まれだけに、全国花火競技大会のような催しがきっけとなることは十分に考えられますね。

例えば、2018年の全国花火競技大会で、最優秀賞である内閣総理大臣賞を受賞した花火店は、名前の一部に「菊屋」という言葉がついています。「きくや~!」と声をかけやすい名前ですね。語呂が良いだけに、新しい掛け声の候補の一つとなりそうです。

ほかにも「べにや」や「ちぢや」といった名前の花火店などがあります。また、前述した「ふかがわやー!」のように、名前に「や」を加え、語呂をよくして掛け声とする方法もあります。「たまや」「かぎや」に続く、新しい掛け声の定着が待ち遠しいですね。

新しい掛け声候補を探すには、いろいろな花火大会で花火業者の名前をチェックするのが一番です。せっかくなので、夏祭りデートを楽しみながら足を運んでみるのも良いですね。こちらの記事では、いろいろな夏祭りの紹介とともに、プランやかわいい浴衣などをまとめています。

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「たまや」「かぎや」の掛け声をあげてみよう

「たまや」と「かぎや」の語源と由来は、江戸時代の花火師の屋号に関係したものでした。お稲荷様の2対の持ち物である、「玉」と「鍵」を分け合った花火師同士だったんですね。

江戸を追放されてしまった玉屋ですが、千葉県八千代市にある『株式会社元祖玉屋』という花火業者が、玉屋ののれんを引き継いでいると言われています。一代で江戸いちばんの人気花火師となるほどの人物だったので、江戸以外の場所で花火を作り続けていたのかもしれませんね。

玉屋の花火は八千代で開催される花火大会で、鍵屋の花火は江戸川花火大会などでを見る機会があります。花火見物に出向いた際には、「たまや~!」「かぎや~!」の掛け声をあげてみましょう。もちろん、「ふかがわや」や「きくや」など、ご贔屓の花火業者の名前を掛け声にしてもOKですよ。


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