【その1】有名な秋の短歌(和歌)5選を解説!
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説①秋の田のかりほの庵の苫をあらみ
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説1つ目は「秋の田のかりほの庵の苫をあらみ我が衣手は露にぬれつつ」です。こちらの短歌・和歌は天智天皇による作品であり、秋の田園ならではの風景を描いた一首です。
『小倉百人一首』の最初に登場することでも有名であり、農作業のために建てた粗末な小屋でネズミなどが寄ってこないように見張っているけれど、編み目が荒いため夜露がしたたり落ちてくるという様子を表現しています。農作業の大変さとともに、秋の夜の静寂と神秘的なイメージが感じられます。
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説②奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説2つ目は「奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋は悲しき」です。こちらは『古今集』に掲載されている猿丸太夫の短歌・和歌です。
奥山で雌の鹿を恋しく思って鳴いている雄鹿の姿を見て秋の寂しさを感じたという意味の和歌であり、憂鬱で人肌恋しくなる秋の季節は動物も人も変わらないということをしみじみと感じさせます。
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説③ちはやぶる神代も聞かず竜田川
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説3つ目は「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」です。平安時代を代表する色男・在原業平の和歌であるこちらの作品は、漫画『ちはやふる』でも登場したことから、知っているという方も多いことでしょう。
「想像がつかないような出来事が起こったという神の時代でも、紅葉が水を紅に染めているこのような美しい光景は聞いたことがない」という意味であり、恋人である藤原高子の家の屏風に美しい竜田川の紅葉が描かれていたことから生まれた和歌となっています。竜田川を高子とみなされることもあり、業平らしい和歌といえます。
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説④秋風にたなびく雲の絶え間より
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説4つ目は「秋風にたなびく雲の絶え間よりもれいづる月の影のさやけさ」です。秋を代表する行事といえば「お月見」というイメージを持つ人は現代にも多いことでしょう。和歌が多く詠まれた平安時代でも、月を賛美する短歌・和歌は多く存在しています。
薄い雲が秋風に吹かれて流れる様子、そして雲のすき間から零れるように射す月の光の美しさが神秘的でうっとりしている様子が感じられます。
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説⑤若き身の恋するやうに秋の雲
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説5つ目は「若き身の恋するやうに秋の雲動きも止まずほのかなれども」です。こちらの作品は、女性による官能的な短歌や女性目線の恋愛感情を描いた短歌が多い与謝野晶子によって作られたものです。秋の神秘的な雰囲気と若い女性の清らかなイメージが感じられる短歌です。
【その2】有名な秋の短歌(和歌)5選を解説!
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説①此の夜をば我が世とぞ思ふ望月の
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説1つ目は「此の夜をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」です。日本史の教科書に掲載されていることも多いこちらの和歌は、平安最盛期の代表ともいえる藤原道長の作品です。
権力争いが絶えなかった当時の朝廷において、道長は一家三后という衝撃的な家系から「絶対的な権力者」としての地位を獲得していきます。この和歌はまさに、道長が最高権力者としての地位を実現した時に詠んだ和歌であり、少しの欠けもない望月(満月)を自分が治める世として例えています。
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説②久方の月の桂も秋はなほ
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説2つ目は「久方の月の桂も飽きはなほ紅葉すればや照りまさるらむ」です。こちらの和歌は壬生忠岑による秋を代表する和歌であり、他の季節よりも美しいとする秋の季節を、中国の「月には桂の木が生えている」という伝説をモチーフにして詠んだ和歌でもあります。
伝説にもなっている桂の木が紅葉するために、月の光がこんなにも美しいのだと表現しており、秋ならではの美しい光景が独特のセンスと言葉づかいで詠まれています。
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説③君待つと我が恋ひをれば我が宿の
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説3つ目は「君待つと我が恋ひをれば我が屋戸のすだれ動かし秋の風吹く」です。『万葉集』に掲載されているこちらの和歌は額田王による秋の和歌であり、思いを寄せる相手・天智天皇を待っている時に詠まれた短歌です。
古来日本では「通い婚」という形となっており、女性と男性は現在のように待ち合わせることはありません。平安時代にて、恋い焦がれる相手を待っている間は、秋の風が簾を動かす度に「あの人かも!」と感じるという女性ならではの心情を表現しています。LINEの返信が来ないとそわそわする現代の恋人達と似ています。
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説④秋さらば見つつ偲へと妹が植えし
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説4つ目は「秋さらば見つつ偲へど妹が植えしやどのなでしこ咲きにけるかも」です。こちらの秋の和歌は大伴家持の作品であり、歌の中に登場する「妹(いも)」は古語で「妻」を意味する言葉です。妻が植えたなでしこの花が妻のことを思い出してほしいと咲いている様子を表現しています。
この和歌が詠まれた時、家持の妻は亡くなっています。なでしこを植えた時、いつ咲くのかと2人が一緒に眺めていた姿などをイメージしていると、家持の悲しみがひしひしと伝わってくる短歌・和歌です。
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説⑤きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに
有名な秋の短歌(和歌)の意味を解説5つ目は「きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかも寝む」です。『新古今集』に掲載されているこちらの和歌は、秋ならではの寂しさが感じられる一首です。
平安時代には、男女が一緒に寝る時にはお互いの着物の袖を枕にして寝るというスタイルですが「かたしき(=片敷き)」ということから、独り寝であることへの寂しさが感じられる和歌です。
【番外編】自作の短歌を作る際のコツとは?
自作の短歌を作る際のコツとはテーマを決めるところにある!
1つ目に挙げられる自作の短歌を作る際のコツとは「テーマを決めること」です。家族や恋人と一緒にいった場所、失恋した時、過去の思い出などといった様々な場面からテーマを決めましょう。ポジティブ・ネガティブのどちらでもかまいません。自分の気持ちを最大限に表現できるものを用いましょう。
自作の短歌を作る際のコツとは思いをそのまま言葉にしないこと!
2つ目に挙げられる自作の短歌を作る際のコツとは「思いをそのまま言葉にしないこと」です。物事に対する感情を乗せる短歌・和歌ですが「悲しい」「嬉しい」などといった直接的な表現は単語を見るだけでわかってしまい、読者の印象に残りにくくなってしまうのです。
そのため、自作の短歌にて物事に対する感情を表す時には「例え言葉」を使って表現すると良いでしょう。高まる怒りは火山・風船、嬉しい気持ちはスキップの音などといった自分らしいたとえ方を取り入れてみましょう。
万葉集などの秋の短歌(和歌)に使われる季語一覧
万葉集などの秋の短歌(和歌)に使われる季語一覧①紅葉
万葉集などの秋の短歌(和歌)に使われる季語一覧1つ目は「紅葉」です。紅葉は、時鳥(ホトトギス)などとともに晩秋を代表する景物であり、秋の和歌にて多く用いられている季語の1つです。読み方は「こうよう」「もみじ」の両方が存在しており、「もみじ」という読み方でもイチョウなどを指す場合は「黄葉」と書きます。
和歌における紅葉とは、紅葉の名所をはじめとした景色の美しさを詠む場合の他にも、『万葉集』などに掲載されている和歌などにも用いられているような「燃え上がる恋心」という意味を持つ場合も多いです。
万葉集などの秋の短歌(和歌)に使われる季語一覧②寝待月
万葉集などの秋の短歌(和歌)に使われる季語一覧2つ目は「寝待月」です。「寝待月」とは、陰暦の8月19日のことで、立待月・居待月に次ぐ「寝て待つ月」を意味する季語です。月が昇るのが遅いことからこのように呼ばれており、短歌・和歌における秋を代表する季語の1つとしても用いられています。
万葉集などの秋の短歌(和歌)に使われる季語一覧③きりぎりす
万葉集などの秋の短歌(和歌)に使われる季語一覧3つ目は「きりぎりす」です。「きりぎりす」とは初秋を代表する季語です。間違われやすい点として、平安時代における「きりぎりす」は「コオロギ」のことを指す古称であるということです。静かな夜に寂しそうに鳴く様子が、秋の寂しい雰囲気とよくマッチします。
万葉集などの秋の短歌(和歌)に使われる季語一覧④月見
万葉集などの秋の短歌(和歌)に使われる季語一覧4つ目は「月見」です。現在と同様、短歌・和歌が多く詠まれた平安時代においても、秋になると月見の宴などで美しい月を観賞することが多く、主人が酒食でもてなし、和歌を詠んで楽しんだとされています。派生した季語としては、月の座・月見酒・月祭るなどがあります。
秋の短歌・和歌を自分で作ってみよう!
いかがでしたでしょうか?今回ご紹介した作品の他にも、秋の静けさを表現した有名な和歌・短歌はまだまだたくさんあります。是非一度、短歌で秋ならではの風景やあなたならではの気持ちを表現してみてはいかがでしょうか?
景色だけでなく、人の感情にも影響することが多い「季節」ですが、生まれた季節によって人の性格や特徴が変化するといわれています。そこで関連記事では、夏生まれの人の性格・特徴についてまとめていますので、夏生まれの方は是非こちらもチェックしてみてくださいね。
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