十六夜っていつの月のこと?
十六夜の読み方は「いざよい」|満月の翌日の月のこと
「十六夜」は「いざよい」もしくは「じゅうろくや」と読みます。日本では古来より、月の満ち欠けによって呼び方がたくさんあり、そのうちのひとつです。意味は「満月の翌日の夜」です。特に「中秋の名月の翌日の夜」を指すことが多いです。
2019年令和初の十六夜はいつか|9月14日土曜日
2019年、令和初の十六夜は9月14日土曜日です。こちらは「中秋の名月の翌日の夜」という意味の十六夜です。2022年までの十六夜の日にちはこちらです。中秋の名月の翌日以外にも十六夜があります。そちらについては、後述します。
- 2019年:9月14日
- 2020年:10月2日
- 2021年:9月22日
- 2022年:9月11日
十六夜の日にち
十六夜は実は毎月あるもの|陰暦
一般的に十六夜は、お月見で有名な「中秋の名月」の翌日を指すことはご説明した通りです。しかし実は、十五夜も十六夜も毎月あるものなのです。
なぜなら、陰暦では、月の満ち欠けを主として暦を考えるためです。新月の日を各月の1日とし、そこから日付を数えていくので、毎月の満月、つまり陰暦15日は十五夜、その翌日の16日は十六夜となり、毎月巡ってきていることになります。
- 6月18日
- 7月18日
- 8月16日
- 9月14日
- 10月15日
- 11月13日
- 12月13日
令和元年(2019年)十六夜の日にち
十六夜の別名と読み方「二八の月(にはちのつき)」|陰暦
江戸では、十六夜は「二八の月(にはちのつき)」という別の呼び方もされていました。「にじゅうはちのつき」という読み方をしないのは、九九の「2×8=16」が由来のためです。にはちじゅうろく、つまり、駄洒落好きの江戸の人々が、16を九九にひっかけてこの呼び方をしていたのです。
同じように、十五夜のことは「三五の月(さんごのつき)」とも言い、こちらも「3×5=15」の九九から来ています。陰暦を用いて月を身近なものとして過ごし、粋なものや駄洒落が大好きな、江戸ならではの読み方ですね。
十六夜の別名と読み方「不知夜月(いざよいづき)」|陰暦
十六夜は「不知夜月(いざよいづき)」と書くこともあります。十六夜は満月より遅く出るということは、一晩中、空に月があることになります。そのため「夜を知らない」という意味でこの漢字が当てられました。
元々「十六夜(じゅうろくや)」の読みの当て字の「いざよい」に、さらに漢字を当てているため、知らないと全く読み方がわかりませんね。いくつも名前をつけるほど、昔の人は月に親しんでいたのです。
十六夜以外にも月にはたくさんの呼び名がある|陰暦
満月の翌日の月を十六夜と呼ぶように、月には「陰暦〇日」と数える以外に、呼び名がついていることがほとんどです。昔は現在のように電気がなかったため、夜は月の明かりを頼りにしており、今よりも月は身近なものでした。そのため、たくさんある月の呼び名ですが、今回は十六夜に近いものをご紹介します。
陰暦14日、満月前夜の月は「小望月(こもちづき)」です。陰暦15日の満月は「望月(望月)」、十五夜にサトイモを備える風習があることから「芋名月(いもなづき)」とも呼ばれます。
十六夜の翌日17日は「立待月(たちまちづき)」といい、「満月を過ぎると月の昇る時間が遅くなるが、まだ立って待っていられる」ためにこの名前です。18日は「居待月(いまちづき)」となり、月が昇るのを座って待っています。19日には「寝待月(ねまちづき)」となり、字の通り寝てしまっています。
十五夜と十六夜の違いは?躊躇うの語源になった十六夜とは
十五夜と十六夜の違い①満月の日とその翌日
それでは、十五夜(じゅうごや)と十六夜の違いを見ていきましょう。十五夜は陰暦15日の満月の夜を指し、十六夜は満月つまり十五夜の翌日を指します。現在は「満月の翌日」という立ち位置の十六夜は、昔からマイナーです。
中国から暦が入ってきた時も、すでに十五夜はありました。要するに中国の人も十五夜は楽しんでいたのです。しかし十六夜はありませんでした。昔の日本人は、十五夜の翌日の美しい月にも十六夜という名前をつけ、愛でて楽しむことにしました。
十五夜と十六夜の違い②十五夜と十六夜では月の満ち具合が違う
十六夜は「十五夜の翌日」そして「中秋の名月の翌日」とご説明しました。現在もお月見で親しまれている中秋の名月は「旧暦の8月15日」のことです。中秋の名月は満月というイメージはありませんか?年によって違いますが、実は旧暦8月15日は、満月より少し早いことが多く、正確には満月ではないのです。
「中秋の名月」は一種のお祭りですから厳密に満月であることが必要なのではなくて、「八月の十五夜の月」として誰でもその日がわかることが重要なのです。やはり中秋の名月は「十五夜お月様」でなくてはなりませんよね。
引用 : 暦と天文の雑学|中秋の名月はいつ?
では実際の満月はいつなのか、ご紹介しましょう。2019年と2020年は中秋の名月の1日後、つまり「十六夜」が満月なのです。令和初の十五夜は9月13日なので、お月見をする機会があったら「明日は十六夜っていう日なんだけど、満月になるの、今年は明日なんだよ!」と雑学を披露してみてはいかがでしょうか?
十五夜と十六夜の違い③特別扱いの満月の夜と通常扱いの満月の翌日
十五夜は、平安時代からお月見をして楽しむ「観月(かんげつ)の宴(うたげ)」が催されていました。江戸時代では、その年の収穫の感謝をし、翌年の豊作を願うお祭りの日でした。対して十六夜は、「満月の翌日」の普通の日です。
昔から、何事もない普通の日扱いの十六夜ですが、現在でも「十六夜(いざよい)」という言葉は根強い人気です。人名やキャラクター名、お店の名前などでよく見かけますね。控えめな響きとイメージがあるからです。そのイメージがついた理由については後述します。
十五夜と十六夜の違い④望月と既望
十五夜と十六夜の違いは、別名にも現れています。十五夜の別名に「望月(もちづき・ぼうげつ)」があります。お餅の「もち」は、この望月に由来しているという説があったり、うさぎが月でお餅をついているのは、もちづきからもちつきが連想されたという説もあります。
また「望月(もちづき)」は、苗字や地名などで見かけますし、お店やキャラクターの名前になっていることも多々ある人気の言葉です。
一方、十六夜にも「既望(きぼう)」という別名があります。こちらは、望月(ぼうげつ)を過ぎた、という意味のみです。望月には楽しい説がくっついているのに対し、既望はシンプルな扱いですね。
十五夜と十六夜の違い⑤特別な英語表現の有無
中秋の名月の十五夜には、特別な英語表現が存在します。「harvest moon」といい、直訳では「穀物や野菜、果物の収穫の月」となりますが、この言葉は中秋の名月を指しています。月が出るのが早いうえに、満月で明るく照らしてくれるため、夜の収穫の助けになることからです。
「Corn Moon(とうもろこし月)」という英語表現もある中秋の名月の十五夜ですが、十六夜にはこういった英語表現はなく「the moon on the sixteenth night of a lunar month(太陰月の16日目の夜の月)」と直訳的に説明することになります。
十六夜が「躊躇う」の意味を当てられた理由
十六夜の「いざよい」という読み方は当て字です。これは、前日の満月である十五夜の月と比べると、十六夜の月はおよそ50分遅れて出てくることが由来です。月を擬人化して「出てくることを躊躇(ちゅうちょ)している・姿を見せることを躊躇って(ためらって)いる」と捉えたからです。
躊躇う・躊躇するという意味の「猶予う(いざよう)」という言葉を当てられて、「じゅうろくや」を「いざよい」と読むようになりました。
この「月が出ることをためらう」という表現の奥ゆかしさや神秘的な雰囲気、「いざよい」という日本的な響きが「なんだかいい感じ」であるため、十五夜に比べたら地味なイメージの十六夜ですが、現代でもネーミングの際に大変人気があるのです。
十六夜は俳句の季語なの?十六夜が使われた5つの俳句
十六夜は秋の季語
陰暦では季節を問わず、毎月十六夜がやってきますが、十六夜が秋の季語なのはなぜでしょう?それは、中秋の名月が美しい十五夜として知られるようになって季語になり、翌日にあたる十六夜も定着したためです。欠けていく月が俳句のワビを表現し、よく使われます。
十六夜を季語に使った俳句①芭蕉|十六夜の月を見はやせ残る菊
「十六夜の月を見はやせ残る菊」という、十六夜を季語に使った松尾芭蕉の俳句があります。意味は「十五夜を過ぎた後の十六夜の月と、重陽の節句を過ぎてもなお残っている菊。どちらも盛りを過ぎた、もの哀しい趣があるが、どんなものだろうか」です。
十六夜を季語に使った俳句②芭蕉|いざよひもまださらしなの郡哉
「いざよひもまださらしなの郡哉」こちらも、十六夜を季語に使った松尾芭蕉の俳句です。意味は「昨日見た更科の十五夜が美しく心を奪われ、十六夜(いざよひ)の今宵もまだ更科の郡を去りかねている自分だ」です。
十六夜を季語に使った俳句③芭蕉|十六夜はわづかに闇の初め哉
「十六夜はわづかに闇の初め哉」こちらも、十六夜を季語に使った松尾芭蕉の俳句です。意味は「昨夜は満月の十五夜であった。しかし、わずかながら暗闇にむかって欠け始めていく、それが今宵である」です。
十六夜を季語に使った俳句④芭蕉|やすやすと出ていざよふ月の雲
「やすやすと出ていざよふ月の雲」こちらも、十六夜を季語に使った松尾芭蕉の俳句です。意味は「簡単に出てきた月だったが、そっと雲に隠れてしまった」です。出たかと思ったら隠れてしまった、と変化に戸惑うイメージです。
十六夜を季語に使った俳句⑤芭蕉|十六夜や海老煎るほどの宵の闇
「十六夜や海老煎るほどの宵の闇」こちらも、十六夜を季語に使った松尾芭蕉の俳句です。意味は「主人が海老を煎ってもてなしてくれている。今宵の月の昇り具合は、海老を煎るのにちょうどよい」です。
十六夜を昔の人が楽しんだ月待信仰って?
月待信仰とは|月夜に集まる民間信仰
月待信仰とは、月待ち講ともいいました。「講」は「こう」と読み、同じ信仰などを持つ人たちが集まった、寄り合いや行事のことを指します。特定の月齢に意味を持たせ、月夜に集まり、飲食などしながら皆で月が出るのを待ったという民間信仰です。地味な扱いの十六夜も、ちゃんと「十六夜講」がありました。
月齢についた名前と同じ種類の月待ち講があった
月待ち講とはいっても、月にたくさんの名前がついていたように、それぞれの月にそれぞれの講がありました。集まる人たちによって、行事の内容が異なり、子供たちの集いはお菓子が出る、男性が集まる時は飲み会に、女性たちが集まれば安産祈願や話し合いになるといった具合です。
月待信仰に欠かせない!月待塔
月待ち講には、月待塔が欠かせません。月待塔は月待信仰塔ともいい、月待ち講仲間で記念として建てた石碑のことです。月待塔は文字が彫ってあるものと、月と仏様を結び付けて信仰していた月待ち講では、仏様が彫ってあるものもあります。
一番流行ったのは二十三夜塔!
各地には色々な月待塔があります。全国にあるものと、地方でしか見ないもの、それぞれありますが、十六夜塔は、栃木・茨木・群馬でみられます。全国にあり、一番数が多いのは二十三夜塔です。
二十三夜が一番流行った理由は、形と時間です。下弦の月のため形が幻想的なことに加え、月が出る時間が午前零時頃であることが、信仰につながりやすかったのです。
刻像塔と文字塔がある!十六夜塔
関東北部のみの一部の地域で行われていた十六夜月待ですが、十六夜塔は刻像塔と文字塔がありました。地蔵菩薩・阿弥陀如来・大日如来・聖観音、如意輪観音といろいろな刻像塔があります。
中秋の名月も美しいですが控えめに人気のある十六夜も楽しみましょう!
十五夜に比べたら、扱いが普通で存在感がない上に、出る時間が遅いため「出ることを躊躇っている」と言われている十六夜について、ご説明してきました。存在感が薄い十六夜ですが、実は旧暦の中秋の名月はズレていて、旧暦8月16日こそが満月の日になる年もあるところも素敵ですね。
十五夜のおまけのような扱いで季語になっていますが、欠け始めている月ということで俳句のワビを表現するのに人気です。現在も色々な名前に十六夜と使われているので、見かけたらこちらでの知識を思い出してみてください。
十六夜を脇役とした場合、主役になる「十五夜」について・正しいお月見の方法などをご紹介している記事です。併せてご覧ください。
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