初釜とは?
初釜(はつがま)とは茶道の新年会のような行事
初釜は「はつがま」と読み、茶道の行事で新年に初めて釜をかけることを言います。お稽古始めのことでもありますが、お客様を招いて新年に初めてお茶を点てる新年会のような行事です。茶道では大事な行事とされていて、初釜でのかしこまった決まり事もあります。「お初釜(はつがま)」とも言います。
初釜の時期は新年の挨拶が終わった頃
初釜が行われるのは新年の挨拶が終わった頃とされ、一般的には1月10日頃から行われます。元旦に汲んだ水を若水と言い、この水で釜を開いて主催者(ご亭主)がその年初めて点てたお茶を客人に振舞います。
初釜では新春のしつらえの中で食事とお茶を楽しむ
初釜のしつらえ(部屋のセッティング)は、茶道の流派(表千家、裏千家、武者小路千家)によって多少の違いはありますが大枠は決まっています。床の間には新春にふさわしい掛け軸を飾り、合わせて飾る花は結び柳に椿です。古来から縁起が良いとされる柳は天井近くから畳まで垂らし、長い程良いとされます。
長く垂らした柳は途中で輪に結びます。この柳の結び目は「旧年と新年を結ぶ」、「生命力の象徴」などを象徴します。新春のしつらえを楽しみながら、懐石料理をいただき、お点前を拝見してお菓子、濃茶、薄茶をいただくのが初釜の行事です。
普段の茶道のお茶会と初釜で違うところは?
違う点①茶道のお点前で使うお道具
1つ目はお点前で使われるお道具です。初釜(はつがま)では金箔や銀箔がほどこされた豪華なお茶碗が使われます。このお茶碗は新年にしか使われません。3~5名でお茶をいただいた後はこのお茶碗をじっくりと拝見します。また、その他のお道具も縁起ものや干支にちなんだモチーフのものが使われる場合があります。
違う点②お初釜だけのお菓子
2つ目はお菓子(主菓子)です。茶道で濃茶の前にいただくお菓子を主菓子と言います。初釜では特別なお菓子が出されるのですが、茶道の流派によって出されるお菓子が違います。表千家は常盤饅頭(ときわまんじゅう)という、雪をかぶった松を思わせる白い皮に美しい緑の餡が入ったお饅頭です。
裏千家では「花びら餅」という、昔の宮中のおせち料理になぞらえて押し鮎に見立てたゴボウと白餡の入った餅が出されます。武者小路千家では「都の春」という、柳の緑と花の紅に見立てたきんとん仕上げの餡菓子が出されます。いずれのお菓子も、この時期和菓子屋さんで目にしたことがあるかもしれません。
お初釜に参加する際の服装・髪型のマナーは?
お初釜(はつがま)では女性は着物・男性はダークスーツ
お初釜(はつがま)では基本的に女性は着物という決まりがあります。着物といっても種類が色々ありますが、華美なものは避けましょう。未婚女性なら振袖、既婚女性は紋付の色無地、付け下げ、訪問着が無難とされます。ご亭主よりも格の高い着物は失礼にあたります。
男性はダークスーツに華美でないネクタイが無難です。着物の場合は紋付袴が原則となります。ご亭主の意向で女性も洋服でOKと言う場合もありますので、着る着物に悩んだら直接相談してみたほうが良いかもしれません。
女性の洋服は長めのフレアスカートがおすすめ
何らかの事情で着物が着れず、ご亭主のOKが出た場合には女性も洋服でお初釜に参加できます。この場合、パンツスタイルは好ましくありません。短すぎるスカートも避け、膝頭が隠れるくらいの丈が無難です。長めのフレアスカートは動きやすく座っていても楽なのでおすすめです。
着物に合わせて髪型はアップでスッキリと
髪型は服装ほど細かい決まりはありません。髪が長い方はアップにまとめるなど、スッキリと清楚な印象がおすすめです。華美なヘアアクセサリーは控えましょう。着物に合わせる髪型はこちらの記事も参考にしてください。
手元のアクセサリーは外しておこう
指輪や腕輪、腕時計など手元に付けるアクセサリーは、お道具を傷つける恐れがあるので予め外しておきましょう。その他のアクセサリーも華美になりすぎないよう控えめにします。
初釜に必要な持ち物は?
①懐紙
1つ目は懐紙(かいし)です。お菓子を取り分けたり、食事の時に敷物にする薄い紙です。お茶碗や口元を拭うときにも使います。ティッシュペーパーのようなものです。懐紙入れに入れて持ち歩きますが、懐紙入れは華美でない柄を選びましょう。
②手ぬぐい
2つ目は手ぬぐいです。食事の際に膝に掛けたり、手を拭うのに使います。ちょうど良い手ぬぐいが無い場合には、大きめのハンカチでも代用できます。こちらも華美でない柄を選びましょう。
③替え足袋または足袋カバー
3つ目は替え足袋です。招待された茶室の畳を汚さないように、入室前に足袋を履き替えます。または事前に足袋の上に足袋カバーを履いておき、入室前に足袋カバーを脱ぎます。
面倒と感じるかもしれませんが、茶道では外の汚れを茶室に持ち込むのは大変失礼なこととされるので重要です。洋服の場合は替えの白靴下を用意し、同様に履き替えます。
④袱紗
4つ目は袱紗(ふくさ)です。ご祝儀袋を包んでおき、会費を納める時にご祝儀袋を袱紗から取り出します。結婚式のようにご祝儀袋には新札を包みますので、当日慌てないように事前に忘れず準備しておきましょう。
茶道初心者におすすめの書籍は?
①茶懐石の頂き方と作法:実用(淡交社編集局)
茶道に興味があるけれど、どうしたらいいか分からない、という初心者の方におすすめの書籍を5冊ご紹介します。まず1冊目は「茶懐石の頂き方と作法:実用」です。茶道初心者の方にハードルが高く感じられるのが茶道のマナーではないでしょうか。この本は丁寧な解説と細かい写真でイメージが湧きやすいのが特徴です。
茶懐石の進行や連客の動きもわかりやすく説明してあります。茶道のお茶会以外でも、箸の持ち方や椀の上げ下ろし、器の扱いなど日常でも役立つマナーを知ることのできる1冊です。
②お茶の先生に教わるきちんときもの手ほどき帖(北見雅子)
2冊目は「お茶の先生に教わるきちんときもの手ほどき帖」です。茶道のマナーと並んで気になるのが着物ではないでしょうか。慣れないと着付けも難しく、着物自体の格式や着る時期の制限など、洋服とは違った難しさがあります。
この本では着物の基本的な事柄から、お茶の席でのTPOなどが分かりやすく説明されています。茶道の先生が書いた本なので、お茶席のシーン別コーディネートなども知ることができます。茶道と着物に興味のある方におすすめの1冊です。
③日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ(森下典子)
3冊目は「日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ」です。2018年に映画にもなりました。具体的な実用書ではありませんが、茶道の良いところは何かという根本的な部分に気付かせてくれます。
茶道の初心者の方はもちろん、これから始めてみたい方、少し興味があるという方にもおすすめです。少し慣れてきた方で、何のために茶道を始めたのか分からなくなってきたという方も初心を思い出せる1冊です。
④新版はじめての茶の湯(千宗左)
4冊目は「新版はじめての茶の湯」です。2018年に襲名した表千家の十五代家元の著書で、茶道のお稽古やお点前、茶事の基本が分かりやすく解説されています。表千家の茶事の流れと所作が豊富な写真で図解されていて、男性のお点前も載っているのが特徴です。
こちらも茶道の初心者の方だけでなく、興味がある方にもおすすめです。3冊目の「日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ」と合わせて読みたい1冊です。
⑤北見宗幸DVD茶道教室―裏千家(北見宗幸)
5冊目は「北見宗幸DVD茶道教室―裏千家」です。こちらは裏千家の立ち居振る舞いや所作、お点前をDVDと写真で見ることができます。1つの所作を複数のアングルで解説しているので動きのプロセスが分かりやすいのが特徴です。ご亭主の目線からの映像もあります。
茶道初心者の方の自宅でのお稽古用から、少し慣れている方の復習用まで、長く手元に置いて役立つ1冊です。英語の茶道用語集が付いているのも面白いです。
初釜で新年を祝おう
初釜(はつがま)についてと茶道のおすすめの書籍ご紹介しました。なんだか茶道をやってみたい気分になりませんか。茶道は決まり事が色々あって難しそうですが、新年をお祝いするお初釜のように季節を感じる素敵な行事もあります。
茶道で大切にしているのは、お茶と場の雰囲気を楽しむ気持ちです。お初釜などの茶道の行事にお誘いされる機会があったら、是非茶室の雰囲気を楽しんできてくださいね。
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