江戸いろはかるたとは?
江戸いろはかるたは「手習い歌」にことわざを当てはめたカードゲーム
「いろはにほへと」から始まる『いろは歌』は、子ども達の手習いのお手本として長らく利用されてきました。現代(新)かな遣いが使われるようになってからは、文字のお手本は『50音』に取って変わりましたが、かるたという形で今なお親しまれていることは皆さんご存知でしょう。
重複しない47文字に「京」の1文字を加え、それぞれを頭文字とする「ことわざ」や「慣用句」を当てはめたものをいろはかるたと称します。ちなみに京の文字を加えるのは、いろはかるたが京都発祥だからという説、手習いの際に拗音を学ばせるために加えた名残といった説があるそうですよ。
いろはにほへと【江戸かるたとは『犬棒かるた』のこと】
名称に江戸とつくのは、地域によって「いろは…」のそれぞれの文字に当てはめたことわざが異なるためです。たとえばいろは歌の冒頭の「い」の文字では、「犬も歩けば棒に当たる(江戸いろは)」、「一寸先は闇(京都いろは)」「一を聞いて十を知る(尾張いろは)」となっています。
いろはかるたとしては、江戸版が『犬棒かるた』という名称で広く知られているようです。さて、以下ではいろは歌の冒頭「いろはにほへと」に当てられた7つのことわざをご紹介するとともに、その意味を一覧にして解説します!
いろはにほへと!江戸いろはかるたの意味7選一覧
江戸いろはかるたの意味一覧①【い】のことわざ「犬も歩けば棒に当たる」
江戸いろはかるたの意味一覧、1つ目は『犬も歩けば棒に当たる』です。この「当たる」とは「叩かれる」という意味で、ウロウロしていた犬が(人間から)ひどい目にあわされるといった内容になっています。さて、言葉だけを見ると、サッパリですよね?
しかし、ことわざの中には生活の知恵や教訓などが必ず示されています。この「犬も歩けば…」のことわざは、「何かしようとすると邪魔が入ったり、思わぬ災難に遭うことが多い」ことを示しており、つまり何ごとも慎重にすべきという戒めなのです。
また、本来の意味は上記の通りですが、「当たる」という言葉のポジティブなイメージから、「積極的に行動すれば思わぬ幸運に出くわす」「何ごとも経験」といった、真逆ともいうべき使われ方がされる場合があります。それも間違いではありません。
江戸いろはかるたの意味一覧②【ろ】のことわざ「論より証拠」
江戸いろはかるたの意味一覧、2つ目は『論より証拠』です。このことわざは、「物ごとはあれこれと口で論じる(議論をする)より証拠を示せば解決する・明らかになる」「人を説得するには事実を見せるのが早道」といったことを指します。文字通りの意味なので、前出の「犬も歩けば…」に比べると分かりやすいですよね。
江戸いろはかるたの意味一覧③【は】のことわざ「花より団子」
江戸いろはかるたの意味一覧、3つ目は『花より団子』です。わりとよく知られていることわざではないでしょうか。お花見の席できれいな花よりも団子の方に目が行く…といった具合で、「風流なことよりも現実的な利に重きを置くこと」のたとえで、自分や周囲の誰かに対して使った経験がある人もいるかもしれませんね。
ごく親しい間柄での軽口であれば問題ありませんが、うっかり目上の人や女性に言うと無礼と取られる可能性がなきにしもあらずです。使い方には注意しましょう。
江戸いろはかるたの意味一覧④【に】のことわざ「憎まれっ子世にはばかる」
江戸いろはかるたの意味一覧、4つ目は『憎まれっ子世にはばかる』です。人から憎まれ、嫌われるような人こそが幅をきかせる、思い通りに力をふるうといった理不尽に感じられる内容です。その通り!と誰かの顔を思い浮かべた人も多いのではないでしょうか。いろはかるたを通じて、江戸時代と現代の共通点が読み取れますね。
ちなみにことのことわざは、世間的に高く評価されている人物が、自らに対して使う場合もあります。これは謙遜ですから、間違っても「そうですね!」なんて言わないようにしましょう。
江戸いろはかるたの意味一覧⑤【ほ】のことわざ「骨折り損のくたびれ儲け」
江戸いろはかるたの意味一覧、5つ目は『骨折り損のくたびれ儲け』です。そのまま使われるよりも『骨折り損』と短縮した形で使われることが多く、『花より団子』と同様にポピュラーな部類ではないでしょうか。
ここで言う骨折りとはもちろん骨折ではありません。大変な苦労(働き)に対して利益が釣り合わず、疲ればかりが残るような状態、つまり無駄な努力をしてしまったという意味で使われます。
江戸いろはかるたの意味一覧⑥【へ】のことわざ「屁をひって尻すぼめる」
江戸いろはかるたの意味一覧、6つ目は『屁をひって尻すぼめる』です。「失敗した後でごまかしたり、慌てて取り繕おうとすること」のたとえです。おならをしてしまってから、おならが出ないようにおしりの穴を縮めても意味がありませんよね。
自分の過ちを認めず、苦しい言い訳をする人をいさめたり批判するような場面で使われることわざですが、ちょっと下品…という理由で、『下手の長談義(上方・京都・尾張いろは)…話下手ほど話が長い』ということわざに差し替えられている物も中にはあるのだそうです。
江戸いろはかるたの意味一覧⑦【と】のことわざ「年寄りの冷や水」
江戸いろはかるたの意味一覧、7つ目は『年寄りの冷や水』です。「お年寄りが年齢にあわない言動をすること」のたとえです。無謀と思われるようなことをしようとするのを先回りして止めるとき、あるいは高齢とは言え元気に振る舞うお年寄りに対して、冗談めかして注意をうながすような意味もあるでしょう。
また、「お若いですね」などと言われたときに、高齢者が謙遜して自ら使う場合もあるようです。いろはかるたに収められたことわざの中でも身近なものの1つですが、言われた方にとっては恐らくあまりいい気持ちのする言葉ではありません。使い方には十分気をつけたいところです。
ことわざについて詳しく学べるおすすめの書籍は?
ことわざを学べるおすすめの書籍①『江戸のこころ・上方の知恵』
おすすめの書籍1冊目は『江戸のこころ・上方の知恵』です。同じ日本国内でも住まう土地によって、たとえば物の呼び方だったり、料理の味付けの好みなど、いろんなことが違ってきます。こちらの本は今回、取り上げた「江戸いろはかるた」と「上方(大阪)いろはかるた」の文言を現代に置き換えて比較・解説しています。
かるたを通して、チャキチャキの江戸っ子達の姿と、商売上手な浪速っ子達の姿が生き生きと浮かび上がってきます。江戸いろはについては、漫画家であり江戸研究家でもあった杉浦日向子さんが、上方いろはは作家の藤本義一さんが解説しています。
ことわざを学べるおすすめの書籍②『江戸のことわざ』
おすすめの書籍2冊目は『江戸のことわざ』です。いろはかるたに選出されたものをはじめ、他にもたくさんのことわざ・慣用句がたっぷりと収録されています。意味を勘違いしていたことわざ、中には初めて耳にすることわざもあるかもしれません。江戸時代の人々の考え方、生活の様子なども伺い知ることができる1冊です。
1つのことわざにつき1ページでまとめられているので、毎日コツコツとことわざを学ぶという使い方も良いのではないでしょうか。
ことわざを学べるおすすめの書籍③『日本のことわざを心に刻む』
先人たちは、生きていくうえで、さまざまな場面でヒントや指針となる教えや知恵を「ことわざ」というかたちで私たちに残してくれました。 人との付き合い方、言葉の使い方、お金に対する考え方など、 先人たちとは生きていた時代は違いますが、 現代に置き換えても通用するものばかりです。
引用 : 書籍帯のキャッチコピーより
おすすめの書籍3冊目は『日本のことわざを心に刻む』です。今の時代にまで消えることなく伝えられてきた言葉には、やはりそれなりの理由があります。ことわざの由来や意味をただ解説した辞書的なものではなく、読み物として楽しめる1冊です。ことわざにまつわる言葉遊び的なコーナーや類語の紹介なども充実しています。
ことわざを学べるおすすめの書籍④『読めばわかる!ことわざ』
おすすめの書籍4冊目は『読めばわかる!ことわざ』です。小学生が知っておきたいことわざ・慣用句の数々がマンガと簡潔な表現で紹介されています。初めてことわざに触れるお子さん向けの本なので、数は少ないものの、とてもわかりやすく楽しんでことわざを学べます。
ことわざを学べるおすすめの書籍⑤『マンガでおぼえることわざ・慣用句』
おすすめの書籍5冊目は『マンガでおぼえることわざ・慣用句』です。文字のプロ集団である新聞社が手がけた、小学生のための上質な学習本で「生物にまつわることわざ」「色・数にまつわることわざ」「心・動きにまつわることわざ」の3つのジャンルのことわざ77個がわかりやすいたとえ話を用いて解説されています。
すべての漢字にふりがながふってあるので、小さいお子さんでもどんどん読み進めることができますよ。朝の10分読書にもおすすめです。
江戸いろはかるたのことわざ・慣用句は現代にも応用できる!
江戸いろはかるた冒頭の「いろはにほへと」の7文字について、その意味や由来、使い方などについてお届けしました。かるたとして形になったのは遥か昔、江戸時代のことですが、1つ1つの意味を見ていくとそれらの文言の中には、今の世の中にも十分に通じる知恵や教訓があります。
こちらの記事をきっかけに、ことわざに興味を持ち、ぜひ日常生活の中で活用していただけたら…と思います。ことわざに関わる記事は以下の2記事がおすすめです。ぜひ、読んでみてくださいね!
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