土用の丑の日の意味とは?由来は?
土用の丑の日の意味とは年4回の「土用」にある「丑」の日
土用の丑の日の意味とは、年4回の「土用」にある「丑」の日のことです。土用とは、二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間のことです。昔の暦は、十二支が使われていたので、それぞれ約18日間の土用のうちの、丑の日のことを「土用の丑の日」と言います。
土用とは、季節と季節の変わり目の約18日間を指し、この期間は、土を休める期間とされています。この期間は、土を触ったり動かしたり、穴を掘ったりするようなことは禁忌とされていました。また、季節の変わり目なので、体に負担のかかるようなことはやめるようにと言われている時期でもあります。
昔のカレンダーには十二支が使われていました。丑の日とは、干支の2番目にある丑のことです。約18日間の間の十二支は、タイミングによっては2回現れることがあるため、丑の日も2回ある場合があります。土用のうちの2回目の丑の日は、「二の丑」と呼ばれます。
土用の丑の日は元々は体に注意する日
季節の変わり目の中にある土用の丑の日は、元々は体に注意する日でした。土用の丑の日は、体を壊しやすいから注意をするようにと言われていました。土を休める時期と言われているのも、体調が悪い状態で、土を掘るような体に負担のかかる作業をすることで、感染症にかかりやすくなったりするのを注意する点がありました。
土用の丑の日は、1月の寒い時期、4月の暑くなる直前、7月の夏真っ盛り、10月の灸に寒くなる頃にあります。どれも、体調を壊しやすい時期です。現在のように医療が発達し、栄養状態の良い環境であれば、風邪は少し休んでおけば良いですが、昔は風邪は万病の元と言われていました。
土用の時期は、風邪をひきやすい時期、また雪崩や土砂崩れなどもおきやすい時期なので、いつも以上に、体調に気をつけ、怪我にも気をつけるようにと言われている時期であり、その中でも丑の日は、しっかりと体を整える日とされていました。
土用の丑の日の由来は夏バテ防止
土用の丑の日の由来は、夏バテ防止です。年4回ある土用の中でもとりわけ注目されるのが夏の土用です。7月末から8月頭にある夏の土用の時期は、夏の疲れが溜まりやすく、夏バテしたり、夏風邪をひいたりすることが多くなる時期です。この期間に1回または2回ある「丑の日」には、精のつくものを食べる習慣ができました。
現在は、うなぎを食べることが有名ですが、うなぎ以外にも、土用餅、あんころ餅と呼ばれるお餅、土用しじみ、土用卵など、栄養価の高いものを食べる習慣が各地にあります。また、丑の日にちなんで、「う」のつく食べ物として、うどんやうめぼし、うりなどを食べる習慣もあります。
夏バテしやすい時期にある、土用の丑の日は「食い養生の日」と言われていて、疲労回復や滋養強壮効果のあるものや、栄養のあるものをいつもより多く食べ、夏バテを防止し、暑い夏を乗りきろうという日です。いつもよりも、意識した食事をすると良いでしょう。
夏バテ防止のうなぎは万葉集にも
夏バテ防止にうなぎを食べるということは、万葉集にも掲載されていますので、奈良時代にはすでに行われていたということになります。万葉集には、有名な歌人である大伴家持(おおとものやかもち)が、石麻呂(いしまろ)に「われ物申す夏痩に良しといふ物ぞ武奈伎(むなぎ)取り食せ」と読んでいます。
万葉集では、うなぎは武奈伎(むなぎ)と発音されていたようですが、奈良時代からすでに、夏バテにはうなぎが良いと言われていたということです。うなぎは当時も高価なものであったため、特別な日に食べる、土用の丑の日に食べるとなったようです。
土用の丑の日はいつ?
土用の丑の日はいつ①年4回の土用の丑の日は1月・4月・7月・11月
冬の土用の丑の日は、立春前の約18日間、1月の下旬から2月の頭に、春の土用の丑の日は、立夏前の約18日間、4月の下旬から5月の頭に、夏の土用の丑の日は、立秋前の約18日間、7月の下旬から8月の頭に、冬の土用の丑の日は、立春前の約18日間、10月の下旬から11月の頭にあります。
土用の約18日間の中に丑の日がありますので、土用のある先の月である、1月、4月、7月、10月に最低1回は土用の丑の日はあります。丑の日が2回ある場合は、後の月にも1度ある場合があります。
土用の丑の日はいつ②うなぎを食べるのは夏の土用の丑の日
うなぎを食べるのは、夏の土用の丑の日です。夏の土用は7月下旬から8月の頭にかけてありますので、うなぎを食べる土用の丑の日は、7月19日ごろから月末あたりに1度、2回ある場合は、7月の下旬または8月の頭にもう一度あります。
最近では、年4回ある残り3回の土用の丑の日にも、うなぎを食べようという動きが出ており、スーパーなどには、冬の土用、春の土用、秋の土用の丑の日近くにも、たくさんのうなぎが並んでいることがあります。どの土用も、季節の変わり目で、体力が落ちやすかったりしますので、栄養をつけるのは理にかなっています。
夏の土用の2度目の丑の日を、「二の丑」と言いますが、この日ももちろん、うなぎを食べてもいい日ですが、江戸時代、丑の日にうなぎを食べることが払った頃、最初の丑の日でみんなが飽きてしまい、二の丑の日は、さほどうなぎが食べられなかったということがあったようです。
土用の丑の日にうなぎを食べる理由は?
土用の丑の日にうなぎを食べる理由①夏バテ防止
土用の丑の日にうなぎを食べる理由1つ目は、夏バテ防止です。昔から、暑い夏の疲れが溜まってきやすい7月の下旬ごろの土用の丑の日は、精のつくものを食べて、暑い夏を乗り切ろうと考えられていました。その際は、「丑の日」にちなんで、頭に「う」のつく食べ物がたくさん食べられていました。
もともと土用の丑の日に食べていた「夏バテ防止」「疲労回復」の意味を持つものは、うなぎだけではありませんでした。「う」のつくものとして、うどん、うめぼし、うりなどが、庶民でも手軽に食べられる栄養価の高いものとして食べられていました。うりぼう(イノシシの子供)や牛を食べていたこともあるようです。
さらには、地域によって、土用餅と言われるあんころ餅や、土用近くに取る土用しじみ、当時は非常に高価だった土用卵などが、土用の丑の日に食べる特別な食材として、食べられていました。どれも疲労回復や滋養強壮の意味で食べられていました。
土用の丑の日にうなぎを食べる理由②平賀源内の宣伝効果説
土用の丑の日にうなぎを食べる理由2つ目は、平賀源内の宣伝効果説です。江戸時代、うなぎは調理に時間がかかり、さらに夏場は暑いため、夏になると売れにくくなる食べ物でした。あるうなぎ屋が、活躍していた発明家の平賀源内に相談したところ、人気の本に「土用の丑の日にうなぎを食べると滋養になる」と記載しました。
その結果、土用の丑の日にうなぎを食べることが大流行しました。源内の知り合いの店から始まり、いつの頃からか、多くのうなぎ屋の前に「丑の日はうなぎ」のキャッチコピーが使われるようになり、それが今でも伝わっていると言われています。平賀源内によるうなぎの宣伝は、日本初のキャッチコピーとも言われています。
江戸時代のうなぎは、注文が入ってからさばき、焼き上げていたため、出来上がりまでにかなりの時間がかかり、焼きあがるまでにお風呂に入って待つサービスまであったほどでした。人気が出たことにより、土用の丑の日は、丑湯と呼ばれるお風呂に入り、うなぎを食べてしっかりと体を休める日として、定着していきました。
土用の丑の日にうなぎを食べる理由③春木屋善兵衛説
土用の丑の日にうなぎを食べる理由3つ目は、春木屋善兵衛説です。うなぎ屋の春木屋善兵衛は、ある日、うなぎの蒲焼の大量の注文を受け、子の日、丑の日、寅の日の3日間を使って大量のうなぎの蒲焼を作り、土甕に入れて保存をしておきました。
同じように作ったうなぎの蒲焼でしたが、子の日と寅の日に作ったうなぎは悪くなってしまっていましたが、丑の日に作ったものだけは、悪くなっていませんでした。このできごとから、うなぎを食べるなら、丑の日のものをという話が広がりました。
食べ物以外の土用の丑の日の風習は?
食べ物以外の土用の丑の日の風習①焙烙灸
食べ物以外の土用の丑の日の風習1つ目は、焙烙灸です。お寺などでは、土用の丑の日に、焙烙と呼ばれる素焼きのお皿にお灸を置き、それを頭に据える「焙烙灸」という修法があります。頭痛などに効果があるとされる修行方法で、江戸時代などには、一般の人々の間でも行われていました。
頭のてっぺんには、「百会」というツボがあり、このツボを刺激することで、頭痛を防止し、血行を良くして全身の調子を整える効果があります。土用の丑の日には、地域によっては現在でも、素焼きのお皿にお灸を乗せ、頭のてっぺんに乗せて、頭痛除け、暑気封じをして、夏の健康を祈願しています。
また、そのほかにも、土用の丑の日には、うなぎを食べた後、暑気払いの灸を据えると良いとも言われていて、疲労回復のツボにお灸を据えることもしていました。暑気払いには、特に「足三里」と呼ばれる、膝下の外側の凹みから指の幅4本分下にあるツボにお灸を据えると良いと言われています。
食べ物以外の土用の丑の日の風習②きゅうり加持
食べ物以外の土用の丑の日の風習2つ目は、きゅうり加持です。きゅうり加持は、きゅうり加持祈祷会、きゅうり封じとも呼ばれ、夏の暑い時期、特に土用の丑の日の頃に、食べると体を冷やすことのできるきゅうりにあやかって、暑い夏を乗り切るために行う祈祷の儀式です。
きゅうりは、夏にたくさん収穫することができ、水分が多く栄養価も高いため、疫病や厄災を封じることができるとされていました。庶民の間に広まっていた民間信仰の一つですが、高僧である空海が、きゅうりに疫病を封じて病気平癒を祈ったことが起源とも言われています。
祈祷で使われるきゅうりは、食べることはなく、願い事を書いた紙を挟み、お供えとして使われることが多いようです。夏場のきゅうりは、体を冷やす作用があり、またカリウムをたっぷり含んでいることから、夏バテの防止になると言われています。ご祈祷に使う以外のキュウリはしっかりと食べると良いでしょう。
食べ物以外の土用の丑の日の風習③丑湯
食べ物以外の土用の丑の日の風習3つ目は、丑湯です。丑湯は、夏バテ防止や疲労回復を目的として、土用の丑の日に入るお風呂のことです。毎日お風呂に入る習慣がまだ無かった時代は、土用の丑の日に薬湯に入って疲労を回復することも行なっていました。
土用丑の日に入る丑湯には、どくだみ、緑茶、桃の葉などのハーブが使われていました。これらのハーブを袋にたくさん入れて、そのまま湯船に浮かべます。お風呂に入った際に、少し揉みながら入ると、ハーブの良い香りがして、いつも以上にリラックスできるでしょう。
土用の丑の日に入る丑湯には、どくだみや緑茶、桃の葉などを入れますが、日本では古来から菖蒲湯や柚子湯など、疲労回復を促す方法を使っています。暑い夏は、ペパーミントなどを入れておくと湯上がりがさっぱりします。虫除けの効果のあるハーブであるペパーミントについてはこちらの記事もチェックしてみてください。
土用の丑の日には美味しいうなぎをいただきましょう
土用は、年4回季節の変わり目にあります。ひときわ有名な夏の土用の丑の日あたりは、急激に気温が上がり、さらに、気温が高い日が続くため、疲れが溜まれやすい時期です。いつも以上に、疲労回復や滋養強壮に気を使って、精のつくものを食べると良いでしょう。
忙しい生活の中では、ついつい体のことは忘れがちになってしまいますので、気づいたら疲労が溜まってしまっているということはよくあることです。土用の丑の日は、そんな時期にも自分の体のメンテナンスを思い出させてくれる日です。土用の丑の日には、ぜひ美味しいうなぎをいただいて、元気を取り戻しましょう。
高価なもの、土用の丑の日に食べるものというイメージの強いうなぎですが、お中元やギフトにも人気の商品です。栄養が豊富で、ご飯に合う味付けで食も進むことから、様々なシーンでのプレゼントにも人気です。うなぎギフトについては、こちらの記事もチェックしてみてください。
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